銅雀区

銅雀区

ソウル特別市の南部に位置する銅雀区（トンジャクく、ハングル: 동작구）は、ソウル市域を南北に流れる漢江の南岸に広がる行政区です。古くから水運が盛んな地であり、その名称も船着場と深いつながりがあったとされています。活気あふれる鷺梁津水産市場を擁し、多くの大学が集まる教育の中心地でもあります。

歴史

この地の歴史は古く、百済時代には「栗木郡（ユルモクぐん）」の一部であったと伝えられています。李氏朝鮮時代にソウル（当時の漢陽）が都となると、北側に位置する漢江を中心とした交易活動が活発化し、銅雀区周辺地域もその恩恵を受けて栄えました。現代に入り、1980年4月1日にソウル特別市の区として新たに誕生しました。これは、冠岳区から鷺梁津洞や上道洞、新大方洞といった現在の区の中核となる地域が分離・統合されたことによります。

地理

銅雀区はソウル市の中心部よりやや南側に位置しています。南側には冠岳山や三星山といった山並みが控え、北側は広大な漢江に面しています。この地理的条件から、自然と都市機能が調和した環境を持っています。

山: 冠岳山（クァナクサン）、三星山（サムソンサン）
河川: 漢江（ハンガン）
隣接自治体:
東: 瑞草区
西: 永登浦区
南: 冠岳区
北: 龍山区（漢江を挟んで対岸）

区内の行政区域は、幾度かの洞の統合を経て、現在は15の洞で構成されています。

行政・教育

銅雀区の行政は区長によって運営されており、地域の治安維持はソウル銅雀警察署、防災・救急活動は銅雀消防署がそれぞれ担っています。教育機関も充実しており、特に高等教育機関が多く集まっています。

主な大学:
崇実大学校
中央大学校（第1キャンパス）
総神大学校

これらの大学には多くの学生が在籍しており、地域に活気をもたらしています。

観光・商業

銅雀区を代表する観光スポットであり、重要な商業拠点となっているのが鷺梁津水産市場です。韓国最大級の水産市場として知られ、早朝から新鮮な魚介類を求めて多くの人々や業者が訪れ、活気あふれる取引が行われています。購入した魚介類をその場で調理して味わえる食堂も併設されており、国内外からの観光客にも人気の高い場所です。

交通

銅雀区はソウル市内の主要な鉄道路線が数多く乗り入れており、交通の要衝となっています。ソウル都心部や近郊へのアクセスが非常に便利です。

鉄道:
韓国鉄道公社 京釜線（首都圏電鉄1号線）:
鷺梁津駅 - 大方駅
ソウル交通公社 2号線:
舎堂駅 - 新大方駅（途中、冠岳区を経由）
ソウル交通公社 4号線:
銅雀駅 - 総神大入口（梨水）駅 - 舎堂駅
ソウル交通公社 7号線:
梨水駅 - 南城駅 - 崇実大入口駅 - 上道駅 - チャンスンベギ駅 - 新大方サムゴリ駅 - ポラメ駅
ソウル市メトロ9号線:
鷺梁津駅 - ノドゥル駅 - 黒石駅 - 銅雀駅
南ソウル軽電鉄 新林線:
ポラメ駅 - ポラメ公園駅 - ポラメ病院駅

これらの駅と路線が区内外を結び、通勤・通学・レジャーなど様々な目的での移動を支えています。

姉妹都市

銅雀区は国際的な交流にも積極的で、以下の都市と姉妹都市関係を結んでいます。

カナダ ブリティッシュコロンビア州 サレー市
モンゴル ウランバートル市 バヤンズルフ区
中華人民共和国 吉林省 敦化市
中華人民共和国 北京市 平谷区
* 日本 愛知県 田原市

豊かな歴史と地理、そして発達した交通網を持つ銅雀区は、ソウル特別市の中でも特に多様な顔を持つエリアと言えるでしょう。

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