錫杖寺

錫杖寺（しゃくじょうじ）

埼玉県川口市にある真言宗智山派の寺院で、その歴史は古く、740年（天平12年）に行基によって開山されました。行基は聖武天皇の勅命を受け、光明皇后の病気平癒を祈願するためこの地に草庵を結んだと伝えられています。これが錫杖寺の起源とされています。

歴史

開山と再興

当初、行基が開いた草庵は、その後、弘安年間（1278年 - 1288年）に願行上人（憲静）によって再興されました。さらに1460年（寛正元年）には、願行上人の法統を継承する宥鎮によって再び再興され、寺としての基盤が確立されました。宥鎮の再再興後には、印融が当寺に立ち寄った記録も残っています。

江戸幕府との関わり

1622年（元和8年）、江戸幕府第2代将軍徳川秀忠は、日光社参の際の御膳所（休憩所）として錫杖寺を定めました。これは、錫杖寺が日光御成道に面していたことが理由です。以降、日光社参を行う歴代の将軍たちが当寺に立ち寄るようになりました。1626年（寛永3年）には、第3代将軍徳川家光から「金子幷木材」を拝領し、将軍専用の門である「御成門」が完成しました。この門は普段は閉ざされており、将軍が訪れる際にのみ開かれました。

瀧山の墓所

錫杖寺には、幕末の大奥御年寄であった瀧山の墓があります。瀧山は江戸開城後、自身に仕えていた侍女「仲野」の実家である川口の船津家に身を寄せました。その後、船津家から夫婦養子として幸次郎と美祢を迎え、「瀧山家」を興しました。寺には、瀧山が使用していた駕籠が寄進されています。瀧山の墓は、その生涯と大奥での役割を今に伝える貴重な史跡です。

文化財

錫杖寺には、埼玉県指定有形文化財である銅鐘があります。この銅鐘は昭和33年3月20日に指定されました。

交通アクセス

• - 川口駅東口より徒歩13分
• - 川口元郷駅より徒歩7分

参考文献

• - 平野清次 著『錫杖寺≪川口≫（さきたま文庫22）』さきたま出版会、1990年

関連項目

• - 関東八十八箇所

外部リンク

• - 宝珠山 錫杖寺＜公式HP＞

錫杖寺は、歴史的にも文化的にも非常に価値の高い寺院です。行基が開いた草庵から始まり、徳川将軍家との関わり、そして幕末の重要人物である瀧山の終焉の地として、多くの人々に親しまれています。訪れる際には、その豊かな歴史と文化に触れてみてください。

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