鎮海区 (昌原市)

鎮海区（チネク）

鎮海区は、大韓民国慶尚南道昌原市の一部であり、韓国最大の軍港として認知されています。この地域は、古くからの歴史と現代の海軍基地が共存する重要なエリアです。

歴史的背景

前近代の歴史

鎮海の歴史は古代に遡ります。この地は、かつて伽耶の地域に含まれており、新羅時代には熊只県と呼ばれていました。その後、統一新羅と高麗時代には熊神県が設置されました。李氏朝鮮時代には、慶尚道に鎮海県（後の鎮海郡）が存在しましたが、この区域は現在の鎮海とは異なる位置にありました。ただし、現在の鎮海区はかつて熊川県と呼ばれていました。

14世紀から15世紀にかけて、薺徳洞槐井里には乃而浦倭館（薺浦倭館）という交易拠点が設立され、ここは日本との間で日朝貿易が行われる重要な場となったのです。この地域は、1494年には約2,500人の日本人が居住する最大の日本人居留地となりました。しかし、「恒居倭」と呼ばれる日本人の活動が両国の摩擦を引き起こし、1510年には三浦の乱が勃発しました。その後、一時期は薺浦が唯一の開港地となる場合もありましたが、1544年の蛇梁倭変によって国交は断絶し、以降は対日交易が釜山に限定されました。

中世には、熊川県は陶器の生産で知られる地域となり、特に日本で人気の高麗茶碗「熊川（こもがい）」が有名でした。文禄・慶長の役の際、熊川の陶工たちが松浦鎮信によって連行されたことで、地域の陶器生産は減少し、その後温故知新の道をたどります。

鎮海軍港の設立

1904年、日本海で日露戦争が勃発し、日本軍は鎮海湾を制圧しました。その後、鎮海湾に軍港の建設が進められ、1910年から地域の都市と軍港が建設されました。この時期、鎮海区域は昌原府によって管理されていましたが、1911年には馬山府に属する「鎮海面」として編成されました。

1916年には鎮海要港部が設置されるなど、日本海軍の軍港都市としての発展が始まりました。1931年には鎮海邑が設立され、当時の日本文化の影響を受けた都市計画が施行されました。

韓国海軍の発展

日本の敗戦後、鎮海の海軍施設は大韓民国海軍の前身、朝鮮海岸警備隊によって活用されました。1946年には海軍士官学校が設立され、1949年には大韓民国海兵隊が誕生しました。1955年には鎮海市として昇格し、昌原郡から独立を果たしますが、その後馬山市、昌原市との一体化が進みました。2010年には鎮海市が廃止され、昌原市鎮海区として再編成されました。

文化と観光

鎮海の桜

鎮海は桜の名所としても知られています。日本の海軍がこの地区の都市開発を進める中で、さまざまな樹木が植えられ、その中に桜も含まれていました。1920年代には春になると多くの観光客が訪れる名所となっていたのです。しかし、日本から持ち込まれた桜は解放後に伐採されました。

熊川倭城

この地域には薺徳洞に熊川倭城という歴史的な遺跡があります。この城は上杉景勝や直江兼続の指導の下、薺浦近くに建設され、当時の日本の歴史に名を刻みました。

交通とアクセス

鎮海区には馬山や昌原からのバス路線が充実しており、釜山の西部バスターミナルからのアクセスも盛んです。また、かつては鎮海線が通っていましたが、2015年には定期旅客列車の運行が終了しました。

結論

鎮海区はその豊かな歴史、文化、交通の便の良さから多くの観光客や歴史愛好者に魅力的な地域です。この地を訪れることで、韓国の歴史や文化を深く理解することができるでしょう。

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