長坂氏

長坂氏の歴史と系譜

長坂氏（ながさかし）は、日本の武士としての系譜を持つ氏族で、甲斐源氏の出身です。彼らは甲斐国長坂に拠点を置き、「長坂」と名乗っていました。長坂氏は、同じく甲斐源氏の武田氏に仕え、その政治的・軍事的な影響力を持っていました。

源姓長坂氏

信濃守護小笠原氏の庶流である長坂氏は、甲斐国巨摩郡の長坂に本拠地を築きました。長坂氏は光堅の時代に武田氏の下で侍大将となり、氏族としての繁栄を享受していました。しかし、1582年に戦国大名として名を馳せた武田氏が滅亡し、長坂氏も昌国が切腹する運命に見舞われ、氏族は消滅しました。ただし、昌国の弟である今福昌常は、徳川氏に仕官し、長坂氏の血統は江戸時代まで繋がっていきました。

三河長坂氏

三河における長坂氏は、信濃守護小笠原持長の三男である九郎守重が、足利将軍家に仕えて山城国長坂村に住んだことに起源を持つとされています。しかし、この情報の真偽は定かではありません。また、平岩氏の系譜には、零落した弓削氏の末裔である弓削氏信の長男氏重が平岩姓を名乗り、次男信重が長坂姓を、三男氏政が都築姓を名乗ったとの記録も存在します。

平岩氏の拠点である額田郡坂崎郷が、長坂氏の本拠である加茂郡大給城に近いため、弓削氏が本姓である可能性も指摘されています。この長坂氏は応仁・文明期には大給城を本拠地としており、長坂新左衛門は松平信光と戦い、円山で討死しました。この戦闘は松平氏が勢力を拡大する契機となり、清康期における三河統一の基礎を築くこととなりました。

長坂信政は、松平清康、広忠、そして家康という三代に仕官し、彼の槍の腕前から「血鑓九郎」とあだ名されました。長坂氏の子孫は500石の旗本に昇進し、信政の四代目である長坂信吉の次弟忠尚は本多忠政の家臣として仕官しました。また、末弟信次は1080石の旗本として任官され、従五位下・丹波守を受けました。

長坂信政の弟である長坂重次の孫、長坂重吉は舟戸藩主本多正重の娘を妻としました。重吉の長男である本多正貫は、本多正重の外孫として本多三弥左衛門家を継ぎ、8000石の大身旗本となりました。

系図

長坂氏の系図は以下のようになります:

• - 小笠原持長

- 長坂守重
- 信重
- 信政
- 信宅
- 一正 (旗本500石)
- 忠尚 (桑名藩士)
- 重次
- 重信
- 重吉
- 本多正貫
- 正直
- 正永 (老中・沼田藩主4万石)
- 正綱
- 正種
- 松平乗真 (大給藩主1万6千石)

このように、長坂氏は多様な系譜を持ち、時代を超えてさまざまな家系と関わりを持ちながら歴史の中で影響を及ぼしていました。

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