長寿院盛淳

長寿院 盛淳について

長寿院 盛淳（ちょうじゅいん もりあつ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活動した武将であり、島津氏の重要な重臣として知られています。本来は畠山姓を名乗っており、長寿院という名は出家時の院号に由来しています。盛淳は還俗した後もこの名で広く知られるようになりました。彼の息子である忠栄が屋敷を譲ることにより、以後の子孫は阿多氏を名乗るようになりました。

略歴

盛淳は畠山頼国（橘陰軒）の子として誕生しました。彼の父である頼国は薩摩半島の坊津へ移住し、そこで暮らしていました。幼少期の盛淳は大乗院で仏門に入りますが、後に大乗院盛久法印の弟子として修行に励みました。紀州根来寺にて8年間の修行を経て、その後高野山にも赴き、木食上人のもとで3年間の修行を続けました。こうした修行を経て戻った盛淳は、安養院の住持となります。

その後、彼は島津義久から還俗するよう命じられ、義久の側近として取り立てられました。盛淳は奏者として仕え、島津氏の九州所有に貢献しました。特に、天正14年（1586年）には、豊臣秀吉と義久の関係を結ぶ重要な役割を果たしました。やがて、豊臣秀吉が九州を攻めた際には、島津氏への和睦を提言したとも言われています。

天正16年（1588年）、盛淳は家老に就任しており、義久と共に石田三成と会談しています。さらに、天正20年（1592年）頃には町田久倍や鎌田政近らとともに家臣の知行宛行状に署名しており、また、島津義弘の老中にも名を連ねたことが記録されています。

彼は伊集院幸侃と共に太閤検地に立ち会い、島津家の家臣団の知行配分に深く関与しました。このため、家臣たちの中で減知や所替えを命じられた者たちからは強い敵意を向けられました。さらに、知行割を進める伊集院幸侃との間には対立があったことも伝えられています。

関ヶ原の戦い

慶長5年（1600年）に関ヶ原の戦いが始まると、盛淳は早期に義弘の危急の知らせを受け、士卒70名を率いて出発しました。義弘に従った彼は、戦の直前に南宮山に到着しました。西軍に参加することになった義弘には、盛淳が到着すると褒め称えられ、特別な陣羽織が贈られました。

盛淳は関ヶ原の戦いで特に名を馳せたのが「鳥頭坂の退却戦」です。この戦闘の際、義弘は敵陣を突破する決断を下し、盛淳は家来の玉林坊に義弘を背負わせる役目を任せました。盛淳は義弘の影武者となり、戦列に立ち向かいました。

彼の最期に関しては諸説がありますが、義弘の名を名乗って戦い討たれたとも、切腹したとも、あるいは他の家来たちと共に討死したとも言われています。『薩摩藩旧伝集』には盛淳を討ち取ったのは松倉重政の家臣である山本義純であると記されています。

脚注

盛淳の父、畠山頼国もまた重要な人物でした。彼は朝廷や島津家との外交に貢献し、豊富な人脈を持っていました。しかし、盛淳は島津義久からは疎まれた経緯があり、義久の手紙には盛淳を重用することへの懸念が見られます。こうした背景から、盛淳は一度検地奉行の辞退を申し出ることもありました。

長寿院盛淳の人物像は、彼の優れた軍才と島津家のために尽力した姿勢が特に評価されており、現代でも名将として語り継がれています。

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