町田久倍

町田久倍（まちだ ひさます）

町田久倍は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、薩摩国島津氏の家老を務めました。町田氏の18代当主でもあります。その生涯は、戦乱の世を生き抜き、島津氏の発展に大きく貢献しました。

略歴

永禄11年（1568年）、久倍は大口城を攻めた際、相良氏・菱刈氏連合軍と戦い、菱刈氏の家臣である有屋田源四郎を討ち取るという武功を挙げました。天正3年（1575年）には、琉球王国からの使節を迎える際に、犬追物の役目に選ばれました。また、この頃には伊集院（現在の鹿児島県日置市伊集院町）の地頭にも任じられ、天正6年（1578年）の耳川の戦いや、天正9年（1581年）の相良氏との水俣城攻めなど、数々の戦にも参加しています。天正13年（1585年）には、島津義弘の三男・忠恒が元服する際、16代島津義久からその理髪役を命じられました。

その後、久倍は島津義弘に従い八代に在陣し、九州制覇に貢献しますが、天正15年（1587年）の豊臣秀吉による九州征伐で島津氏は敗北。島津義久は泰平寺（鹿児島県薩摩川内市）で秀吉と和睦し、名を龍伯と改めました。義久は上洛し、聚楽城で秀吉に臣従の意を示しましたが、この際に久倍は嫡男の忠綱と次男の久幸を伴って義久に同行しました。

久倍は、島津忠良・貴久・義久・義弘の四代に仕え、特に義久・義弘の時代には家老職を務めました。慶長5年8月28日、播州明石浦にて大病により亡くなりました。家督は、嫡男の忠綱が文禄・慶長の役で朝鮮国唐島（巨済島）にて戦死していたため、肥後氏の養子となっていた次男の久幸が、忠綱の養子として継ぐことになりました。

系譜

町田氏は、元々石谷氏とも呼ばれていました。そのルーツは、島津氏2代当主の島津忠時の七男・忠経に遡ります。忠経の三男・忠光が町田氏の祖とされています。その後、島津氏9代当主の島津忠国が、町田高久に石谷（現在の鹿児島市石谷町）の地を与えました。この件をきっかけに、町田高久が伊集院煕久に殺害されるという事件が起こり、伊集院氏は島津氏から追放されました。その後、町田氏は再び石谷の地を領有することになりました。久倍の代になると、菱刈氏討伐の功により菱刈市山地頭となりましたが、天正6年に伊集院地頭となり、再び石谷を領することになります。

町田氏は、領地名から石谷氏とも呼ばれることもありますが、『本藩人物誌』によれば、町田高久の代から石谷を称し、久倍の代で町田に復したとされています。

家族・子孫

父は町田久徳、母は伊集院久盈の娘です。また、私財を投じて美術品を収集し、東京帝室博物館（現在の東京国立博物館）の設立を提唱し、初代館長を務めた町田久成は、久倍の直系の子孫にあたります。

脚注

松元町郷土誌編さん委員会『松元町郷土誌』松元町、1986年。
『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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