長尾 雅人について
長尾雅人(ながお がじん、
1907年8月22日 -
2005年3月13日)は、日本の
仏教[[学者]]かつチベット
学者として知られる、
京都大学名誉教授です。彼は
日本学士院会員であり、
仏典の文献学的研究やチベット学の発展に寄与したことで広く評価されています。
経歴
長尾雅人は
宮城県仙台市に生まれました。彼の父は広島の寺院の住職であり、早くから仏教に触れる環境で育ちました。1931年に京都帝国大学文学部哲学科を卒業した後、1937年には東方文化学院京都研究所の所員として学問の道を進みました。
1949年には
京都大学人文科学研究所の助教授に就任し、1950年には文学部哲学科の助教授、1951年には教授に昇進します。その後、1956年から1958年にかけて
九州大学で教授を併任し、1965年には
ウィスコンシン大学で招聘教授として活動しました。長尾は1969年から1970年まで
京都大学文学部の学部長を務め、1971年に退官しました。退官後は
京都大学名誉教授として教育の場での影響力を継続しました。
受賞・栄典
彼の業績は多くの賞によって認められています。1959年には
日本学士院賞を受賞し、1978年には勲二等
瑞宝章を受章しました。また、1979年には第13回仏教伝道文化賞を受賞し、彼の広範な貢献が評価されました。
研究内容
長尾雅人の研究は特に
チベット語および梵語(サンスクリット)の
仏典に重点を置き、原典の意味を忠実に再現することに尽力しました。彼は
インドの
大乗仏教における中観派や
唯識派の思想を深く探求し、
チベット仏教学や文化に関する学問領域である「チベット学」の樹立に貢献しました。
さらに、彼は1958年から1959年にかけて
京都大学インド仏跡調査隊の隊長として、日本での本格的な仏教遺跡の発掘を指揮しました。この活動は日本における仏教研究の新たな地平を開くものとされ、長尾の名声を強化しました。
主な著作
長尾の著作は多岐にわたり、彼の研究成果を広く一般に普及させるための貢献がなされています。単著には『蒙古喇嘛廟記』や『西蔵佛教研究』、『中観と
唯識』などがあり、これらは彼の仏教思想に対する深い理解を示しています。また、彼は中央公論社や
岩波書店などの編集委員としても活動し、多くの仏教経典を翻訳・注釈しています。
学術界での影響力に加え、長尾は一般読者向けの著作も執筆しており、『仏教の源流-
インド』や『「
維摩経」を読む』などは、仏教の理解を深めるための貴重な資料となっています。
回想
彼の学問に関する回想は、東方学会の編纂による『東方学回想 Ⅷ 学問の思い出〈3〉』に収められており、長尾の学問への情熱や思い出を伝えています。長尾雅人は、仏教研究の発展に尽くした生涯を全うし、その知識と情熱は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。