長谷寺 (東京都港区)

長谷寺の概要

長谷寺（ちょうこくじ）は、東京都港区西麻布二丁目にある曹洞宗の寺院で、永平寺東京別院にあたります。山号は補陀山（ほださん）で、本尊には釈迦牟尼佛が祀られています。また、観音堂には十一面観世音菩薩の立像、通称「麻布大観音」が安置されており、江戸三十三観音札所の第22番札所でもあります。さらに、長谷寺は禅の修行道場としても利用される僧堂が存在しています。

歴史的背景

起源

長谷寺の起源は、奈良の長谷寺と同様の木材を使用して造られた観音像を祀った宇堂に遡ります。当時、この地域は下渋谷村に属しており、「渋谷ヶ原」と呼ばれていました。天正19年（1591年）、山口重政が徳川家康に招かれて江戸に上る際、渋谷ヶ原に下屋敷を賜りました。慶長3年（1598年）には、この地に基づいて補陀山長谷寺が創建され、家康の菩提寺となりました。この寺の開山は、泉岳寺の開山でもある門庵宗関であり、彼は家康と親交を深めていました。その後、下野国大中寺の末寺として、天正12年（1584年）より存在していた普陀山瀧雲院と合併し、寺の格が高まりました。

江戸時代

江戸時代に入ると、長谷寺の正面口は現在の高樹町交差点方向とは異なり、西麻布交差点方面の道が表参道として利用されていました。江戸時代の初期、天和元年（1681年）には長谷寺の門前町が形成され、その向かいに流れる笄川の両側には田地が広がっていました。現在、笄川は暗渠に見えますが、当時は自然の河川として存在していました。また、寺の裏側には日向国高鍋藩の秋月家の下屋敷があり、その庭から笄川への支流が流れていました。南側には広大な高木家屋敷があり、そこに山口家の下屋敷も併設されていました。宝永6年（1709年）には渋谷御掃除町が成立し、多くが武家地として利用されています。

近代

明治時代において、長谷寺は麻布区笄町へ編入され、渋谷ではなく麻布地域に属することとなりました。参道付近は赤坂区青山高樹町に位置し、寺の正面も三社の高樹町側に設けられることで、長谷寺は高樹町に特に認識されるようになりました。その後、昭和20年（1945年）の東京大空襲で本尊や寺自体が消失しましたが、昭和52年（1977年）に再興されました。

伽藍構成

長谷寺の主要な建物として、法堂、受処、会館、観音堂があります。観音堂には高さ約10メートルの木造の十一面観世音菩薩立像が奉安されており、これは彫刻家・仏師である大内青圃によって作られました。この観音像は、正徳6年に制作された2丈6尺に及ぶ大観音像が空襲で焼失した後、昭和52年に再制作されたものです。顔は香淳皇后をモデルにしていると伝えられています。

交通アクセス

長谷寺へのアクセスは、東京メトロ半蔵門線、千代田線、銀座線の表参道駅、日比谷線の広尾駅、日比谷線・大江戸線の六本木駅からそれぞれ徒歩15～20分程度です。交通の便も良好で、多くの参拝客が訪れています。

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