長谷川忠崇

長谷川忠崇

長谷川忠崇（はせがわ ただたか）は、江戸時代中期に活躍した武士であり、江戸幕府の旗本として、また飛騨代官として知られています。彼の生涯は、幕府の役人としての職務を全うするだけでなく、飛騨地域の歴史と文化の発展に大きく貢献しました。

生涯

元禄7年（1694年）、長谷川忠崇は江戸幕府旗本である長谷川忠国の子として誕生しました。享保13年（1728年）に家督を継ぎ、父の後を継いで飛騨代官に就任します。この時、彼は美濃国上川辺にあった出張陣屋を下川辺に移転させ、下川辺出張陣屋を新たに設けました。また、それまで江戸から行政を行っていた飛騨代官の慣例を改め、元文3年（1738年）からは高山に在住して直接行政を執り行いました。彼の支配下には、飛騨国と美濃国の一部を合わせて5万4500石が割り当てられていました。

元文4年（1739年）には、家に伝わる古文書329通を幕府に献上し、その功績が認められ時服と黄金を賜りました。長谷川忠崇の功績はこれにとどまらず、飛騨の歴史書である『飛州志』の編纂を主導し、史跡や橋梁に石碑を建立するなど、飛騨地域の文化遺産の保護にも尽力しました。これらの活動を通じて、彼は飛騨の歴史を後世に伝える重要な資料を数多く残しました。

行政面では、年貢の増免や百姓の江戸出訴への対応、年貢を金納化するための石代五カ所聞合法の採用、高山の人別米制度の実施など、地域の安定と発展に貢献しました。延享2年（1745年）には病により一時職を免じられましたが、宝暦2年（1752年）には細工頭として再出仕し、宝暦7年（1757年）には鉄砲箪笥奉行に転任しました。安永6年（1777年）には老齢のため職を辞し、黄金を賜りましたが、同年、84歳で病没しました。

長谷川忠崇のように、父から子へと飛騨代官の職が継承される例は珍しく、その後、大原騒動で知られる大原紹正、大原正純の例が挙げられます。

経歴

享保13年（1728年）：家督を継ぎ、飛騨代官に就任。
延享2年（1745年）：病により職を免じられる。
宝暦2年（1752年）：細工頭として再出仕。
宝暦7年（1757年）：鉄砲箪笥奉行に転任。
安永6年（1777年）：死去。

まとめ

長谷川忠崇は、江戸時代中期に飛騨代官として活躍した人物です。彼は、飛騨の歴史編纂、史跡の保全、そして地域行政において、多大な貢献をしました。彼の活動は、現代の私たちが飛騨の歴史や文化を理解する上で、非常に重要な役割を果たしています。

参考文献

村上直ほか共編『徳川幕府全代官人名辞典』東京堂出版、2015年、366頁。

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