下川辺出張陣屋

下川辺出張陣屋

下川辺出張陣屋（しもかわべでばりじんや）は、江戸幕府が飛騨国に近い美濃国内の幕府領を管理・統治するために設置した陣屋です。高山陣屋の支所として、飛騨郡代の管轄下に置かれていました。別名として下川辺役所とも呼ばれています。

歴史

設置

享保11年（1726年）8月、飛騨郡代の支配が美濃国の郡上郡、加茂郡、恵那郡にまで及んだため、当初は美濃国武儀郡肥田瀬村に設置されました。肥田瀬村は、元は旗本の関大嶋氏の知行所でしたが、同族の川辺大嶋氏の預地となり、二つの陣屋が併設されていました。その後、飛騨郡代の出張陣屋は加茂郡上川辺村（現在の岐阜県加茂郡川辺町上川辺）に移転しました。

上川辺出張陣屋は飛騨川沿いに位置し、下流する飛騨産の木材の管理を行っていました。しかし、直属の役人は常駐せず、地役人が駐在していました。建物は「御陣屋」と呼ばれ、蔵、高札場、牢屋などが設けられていましたが、地理的に不便でした。

移転

享保14年（1729年）、支配下の各村からの嘆願により、加茂郡下川辺村（現在の岐阜県加茂郡川辺町下川辺）に移転しました。嘉永2年（1849年）には、陣屋の老朽化に伴い、同村内に新築されました。その後、陣旗野への移転が決定しましたが、翌年の不作により村々が困窮し、移転は見送られました。

閉鎖

万延元年（1860年）、支配地が飛騨郡代から美濃郡代に移管されたため、下川辺出張陣屋は閉鎖されました。閉鎖後、足軽並の小役が1名留守居役として残されました。その後、役人宅の3軒は郡中惣代によって売却されました。

機能

下川辺出張陣屋は、支配下の村々に対して触書や取締書を発行しました。これらの多くは、江戸幕府や高山陣屋から出されたもので、主に年貢米の上納や領民の生活に関する規律などが記載されていました。特異な例として、「威鉄砲御請証文」や「鉄砲御預書上帳」があり、農作物を荒らす害獣駆除のための猟師の鉄砲所持を厳しく管理していました。

概要

陣屋の建物以外に、3軒の役人宅、蔵、高札場などが存在したと伝えられています。現在では井戸のみが残っています。敷地内には稲荷社が祀られており、初午の日には餅米と小豆で赤飯を作り、出入りの人々に豊作を祈って振る舞われていました。敷地は年貢地であり、敷地米1石8斗6升1合が地主に支払われており、この費用は村々の負担でした。

常駐した役人として、手附1名、手代1名または2名、地役人5～6名がいました。

支配地（文化年間）

支配地に関する記述は資料に記載されていませんでした。

駐在役人

手附 1名
手代 1名または2名
地役人 5～6名

関連項目

本保出張陣屋（福井県越前市）: 越前国と加賀国の幕府領を管理・統治した高山陣屋の支所。
川辺陣屋（岐阜県加茂郡川辺町）: 美濃国加茂郡中川辺村にあった旗本の川辺大嶋氏の陣屋。

参考文献

『川辺町史　通史編』　第三章　近世　第二節　支配体制の仕組み　下川辺役所　p187～p193　川辺町史編さん室　平成八年

脚注

この文章は、提供された情報を基に作成されました。

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