長谷部信連

長谷部信連：平安末期から鎌倉初期の武将

長谷部信連（はせべ のぶつら）は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した武将です。右馬允・長谷部為連の子であり、長氏の祖として知られています。

生涯

信連は、その人となりが非常に勇敢であったと伝えられています。若い頃には滝口武者として常磐殿に入った強盗を捕らえるという功績を挙げ、その働きが認められて左兵衛尉に任ぜられました。その後、以仁王に仕えることとなります。

治承4年（1180年）、以仁王が源頼政と共謀して平氏を討伐しようとした計画（以仁王の挙兵）が発覚した際、信連は以仁王を園城寺へと逃がしました。検非違使の追討軍に対して、信連はたった一人で立ち向かい奮戦しましたが、遂には捕らえられてしまいます。六波羅において平宗盛から厳しく詰問されましたが、信連は決して屈することなく、以仁王の居場所を明かすことはありませんでした。この信連の勇猛な態度に感銘を受けた平清盛は、彼を処刑する代わりに伯耆国日野郡へと流罪に処しました（『平家物語』巻第4「信連」）。

平家が滅亡した後、信連は源頼朝によって安芸国検非違使所に任ぜられます。さらに、能登国鳳至郡大屋荘（現在の石川県輪島市から穴水町にかけての地域）の地頭職に補任され、文治2年（1186年）には穴水城主として入城しました。

大正5年（1916年）には、その功績を称えられ、従五位が追贈されています。また、昭和31年（1956年）4月30日には、「長谷部信連の墳墓」が輪島市の指定史跡となりました。

子孫

信連の子孫は能登国穴水の国人として存続し、長氏を名乗って能登畠山氏や加賀前田氏に仕えました。また、曹洞宗の大本山である總持寺の保護者となり、その門前町を勢力圏に収めて栄えました。

長谷部まつり

現在、長氏ゆかりの穴水町では、信連を偲ぶ「長谷部まつり」が開催されています。平成24年（2012年）の第50回記念の祭りでは、武者行列で信連役を二代林家三平が、奥方役を国分佐智子が務めました。

来迎寺

弘仁5年（814年）に嵯峨天皇の勅願により創建された来迎寺は、信連の祈願寺となり、寺号を「来迎寺」と改めました。寺には信連が高倉天皇から賜った観世音菩薩像や、嵯峨天皇が親筆した勅額など、貴重な寺宝が収蔵されています。

長谷部神社

長谷部神社は、信連が亡くなる際に、自ら彫った座像を来迎寺御影堂に安置したことが起源とされています。

まとめ

長谷部信連は、その勇猛さと不屈の精神で、平家との戦いにおいて重要な役割を果たした武将です。また、能登の地頭として地域の発展にも貢献し、その子孫は長く能登の地で勢力を誇りました。現在も、その功績を称える祭りや史跡が残されており、地域の人々に敬愛されています。

もう一度検索