長野電鉄1000系電車

長野電鉄1000系電車（ゆけむり）

長野電鉄1000系電車は、長野電鉄が運行する特急列車であり、その愛称は「ゆけむり」です。この電車は、小田急電鉄から譲渡されたロマンスカー10000形「HiSE」を改造し、登場しました。2000系の老朽化に伴い、代替車両として導入されたもので、実際の車齢は18年と比較的若いものでしたが、ハイデッカー構造のためバリアフリーには適しておらず、運用から外されていた経緯があります。

車両の概要

長野電鉄1000系電車は、車体の塗装において小田急時代のデザインを残しつつ、一部に長野電鉄のオリジナルカラーである長電レッドに統一されました。また、冷房装置への電力供給を行う補助電源は2号車に設置され、信州中野駅から湯田中駅間の急勾配に対応するために抑速ブレーキが改良されています。これらの改造により、冬季の降雪にも対応した耐雪ブレーキやドアレールヒーターが装備され、快適性を追求しています。

車内の構造

車内は全席禁煙であり、基本的に小田急の設備を踏襲しています。1号車と4号車の先頭部には展望席が設けられ、ハイデッカー構造ではないため、バリアフリーに対応しています。ただし、展望室と一般席の間の補助椅子が使用できない仕様になっています。乗車口のドア幅はやや狭く、場合によっては車椅子の使用が難しいこともあります。トイレや洗面所は設置されておらず、中間車が譲渡対象から外される理由となりました。

2015年には自動放送設備が導入され、山崎昭夫によるアナウンスが行われています。また、LEDによる車内案内表示装置も新設され、停車駅や列車情報が表示されるようになりました。展望席を含む先頭車は日中の特急運用時のみ指定席となっており、通常は自由席が設けられています。

編成と運行

この電車の編成は、4車体5台車の連接構造を持ちます。長野電鉄では8500系導入以降、電動制御車は「デハ」、中間電動車は「モハ」と称されるようになりました。運行開始当初はA特急のみの運用でしたが、2011年にダイヤ改正が行われ、A特急・B特急の両方で用いられるようになりました。また、運用時間帯も拡大し、特急列車としての利用が完了しました。

この電車は「のんびり号」や「北信濃ワインバレー列車」「ながでん BEER TRAIN」といった臨時列車にも使用され、観光名所へ訪れる旅客に快適な移動手段を提供しています。2012年には屋代線の廃止に伴い、再び同線での走行を経験しました。

沿革

長野電鉄1000系電車の導入は2005年に始まり、最初の2編成が小田急電鉄から無償で譲渡されました。翌年の2006年には車両愛称が「ゆけむり」と決定し、同年末には営業運転が開始されました。その後、何度かの運用変更や設備の改良を経て、現在に至っています。この電車は、特急料金が保持される中で運行が続けられています。

長野電鉄1000系電車は、その独自の特徴を備えた楽しい旅の手段として、多くの旅行者に喜ばれています。

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