長野電鉄3500系電車

長野電鉄3500系・3600系：元営団地下鉄3000系の活躍

長野電鉄3500系・3600系は、かつて長野電鉄が運用していた通勤形電車です。これらの車両は、帝都高速度交通営団（現東京メトロ）日比谷線で使用されていた3000系を譲り受け、改造したものです。本記事では、その詳細と長編成版である3600系について解説します。

概要

1998年の長野オリンピックを控え、輸送力増強と老朽化した車両の置き換えを目的に、1992年から1997年にかけて導入されました。先頭車34両、中間車3両の計37両が投入され、長野電鉄の最大勢力となりました。その他、部品確保用の無車籍先頭車2両が存在し、実際には39両が長野電鉄に在籍していました。

編成は、2両編成が3500系、3両編成が3600系として区別されました。2両編成はさらに、木島線での車内収受に対応した「O編成」と、それ以外の「N編成」に分けられました。各編成には、3600系「L編成」が3601から、3500系「N編成」が3501から、ワンマン対応の3500系「O編成」が3521からの通し番号が付与されました。「L編成」は湯田中寄り先頭車の主電動機が撤去されている点を除き、性能に大きな差はありませんでした。

N（Normal）編成：モハ3500形-モハ3510形 - 2両編成8本
O（One-man）編成：モハ3520形-モハ3530形 - 2両編成6本
L（Long）編成：クハ3650形-モハ3600形-モハ3610形 - 3両編成3本

改造内容

譲渡当初、以下の改造が施されました。

耐雪ブレーキの新設
主抵抗器容量の増大
側扉へのレールヒーター新設と半自動化
運転室前面下梁の強化
列車無線の交換
車体窓上下への赤帯追加
社章の交換

当初はレジン製だった制輪子を、雪に強い鋳鉄製に交換。前部標識灯の増設は計画のみに終わりました。

その後、O編成以外のワンマン運転対応改造や、2001年には京成電鉄から譲受した冷房装置の搭載改造も行われました。冷房化にあたっては、電源装置に営団5000系電車の廃車発生品である静止形インバータ (SIV) が搭載されました。

運用と沿革

1992年：元営団3000系17編成37両が譲渡
1993年4月：営業運転開始
2002年：木島線廃止により一部非冷房車が運用離脱。N編成とL編成は長野線、O編成は屋代線と長野線で使用
2005年：8500系（元東急8500系）投入により、非冷房車の引退が決定。一部車両が解体され、N編成の4両編成も8500系に置き換え
2007年：N1編成が東京メトロに返還（保存）
2011年12月：O6編成が営団時代の姿に復元
2012年3月31日：屋代線最終日にN7編成とN8編成を連結した4両編成で運転
2019年12月15日：O2編成が引退
2020年1月：東京メトロ03系を改造した3000系導入を発表。本系列の廃車計画が公表
2020年9月25日：L2編成が引退し、3600系が全廃
2021年6月2日：N6編成が引退
2022年3月：N7編成引退記念列車が運行
2022年3月31日：N7編成が引退
2023年1月19日：N8編成の運用終了により、3500系が全廃

長野電鉄3500系・3600系は、長年にわたり長野電鉄の輸送を支え、多くの人々に親しまれました。その引退は、一つの時代の終わりを告げる出来事となりました。

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