門司港運転区

門司港運転区

門司港運転区は、かつて福岡県北九州市門司区に位置していた、九州旅客鉄道（JR九州）本社鉄道事業本部の管轄する車両基地でした。鉄道車両の検査・修繕を行う検修部門と、列車の運転士が所属する運転部門を併せ持つ重要な拠点として機能していましたが、その組織体制は時代とともに変化しました。2011年（平成23年）の組織改編により検修部門が分離され、さらに2013年（平成25年）3月16日には運転部門が廃止されました。現在、旧門司港運転区の施設は乗務員のための宿泊所として利用されています。

沿革

門司港運転区の歴史は、戦後の鉄道組織再編に端を発します。以下にその主な変遷を示します。

1951年（昭和26年）4月：門司港検車区と門司港車電区が統合され、「門司港客貨車区」として発足しました。
1974年（昭和49年）12月：組織改編により、門司港客貨車区が「門司港運転区」へと改称されました。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄の分割民営化に伴い、施設と業務はJR九州に承継されました。当初はJR九州本社の直轄組織として位置づけられました。
2001年（平成13年）4月1日：JR九州は地域ごとの管理体制を導入し、門司港運転区は新設された北部九州地域本社の管轄下に置かれました。
2010年（平成22年）4月1日：管轄が見直され、再びJR九州本社の直轄組織へと戻されました。
2011年（平成23年）4月1日：組織再編の一環として、門司港運転区が担っていた車両の検修部門が小倉工場と統合されました。これにより、検修業務は「小倉総合車両センター門司港派出」として独立しました。
2013年（平成25年）3月16日：残っていた運転部門が廃止されました。これに伴い、所属していた運転士は小倉運転区へ配置換えとなりました。

配置車両の略号

門司港運転区に所属する車両の車体には、所属基地を示す略号が標記されていました。これは組織の管轄によって変化しました。

本社直轄時代：「本モコ」と標記されました。「本」は本社を、「モコ」は門司港を意味します。
国鉄時代など：鉄道省時代は門司鉄道局、国鉄時代は門司鉄道管理局（後に九州総局）の管轄であったため、「門モコ」と標記されていました。
北部九州地域本社管轄時代：この期間は「北モコ」と標記されました。
小倉総合車両センター門司港派出改組後：検修部門が分離・改組されて以降、旧検修部門が担当する車両については「本コラ」と標記されるようになりました。

過去の配置車両

門司港運転区には様々な種類の車両が配置されていました。以下はその一部です。

415系電車（FJ編成）：交流・直流両用で広範囲に運用可能な近郊形電車です。門司港運転区には、0番台の4両編成が2本、100番台の4両編成が12本の合計56両が配置されていました。これらの車両は、山陽本線（下関駅から門司駅の間）、鹿児島本線（門司港駅から八代駅の間）、日豊本線（小倉駅から中津駅の間）、長崎本線（鳥栖駅から多良駅の間）といった広範な区間で運用されていました。

チキ5200形貨車、チキ5500形貨車、チキ6000形貨車：これらの貨車は、主にレールを輸送するための長物車として使用されました。2007年（平成19年）4月1日時点では、チキ5200形が6両、チキ5500形が14両、チキ6000形が28両配置されていました。これらの車両は、2011年4月1日の組織改編に伴い、書類上は小倉総合車両センター門司港派出に転属となりました。チキ5200形を除き、実際にはほぼ同数の車両が引き続き旧門司港運転区の敷地に配置され、運用されていました。

その他の客車：過去には、団体列車や臨時列車に使用される様々な客車も配置されていました。これには、国鉄12系客車や国鉄50系客車が含まれます。また、特徴的な車両として、展望車を備えた「パノラマライナーサザンクロス」や、畳敷きの座席を持つお座敷列車「山編成」といったジョイフルトレインも門司港運転区に所属していました。

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