開頭術

開頭術

開頭術（かいとうじゅつ、英: Craniotomy）は、外科手術の一種であり、頭皮を切開し、頭蓋骨の一部を取り外して頭蓋腔を開ける手術方法です。

概要

開頭手術は、脳腫瘍や血腫といった異物の除去、外傷性脳損傷（TBI）などの脳病変に苦しむ患者に対して行われる重要な手術です。パーキンソン病、てんかん、小脳振戦の治療のために脳深部刺激装置などの機器を外科的に留置する際にも用いられます。てんかんの手術では、原因となっている脳の部位を切除するために開頭術が選択されることがあります。

局所麻酔で可能な穿頭術とは異なり、開頭術では全身麻酔が必須となります。また、穿頭術が肉眼で行われるのに対し、開頭術では手術用顕微鏡を使用する点が異なります。主な適応疾患としては、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などが挙げられます。

歴史

開頭術の歴史は古く、紀元前後にインドや中国で行われていたという記録が残っています。しかし、近代医学における開頭術は、麻酔法や消毒法が発達した19世紀末の1889年に、ドイツの外科医ヴィルヘルム・ワーグナーによって創始されたとされています。

20世紀前半には、アメリカ合衆国のハーヴェイ・ウィリアムス・クッシングとウォルター・E・ダンディによって、脳神経外科手術は大きく発展しました。クッシングは脳腫瘍手術の術式を開発し、止血用のクリップや電気凝固といった器具の開発にも貢献しました。一方、ダンディは、当時としては画期的な空気脳室撮影や気脳撮影という補助診断法を開発し、脳深部の腫瘍の手術や脳動脈瘤のクリッピング法などを発展させました。1967年には、スイスのヤシャルギルによって脳神経外科手術に顕微鏡が導入され、手術の精度が飛躍的に向上しました。

関連項目

脳神経外科学
穿頭

外部リンク

* 開頭手術 | 慶應義塾大学病院脳神経外科教室

もう一度検索