関思恭

関 思恭（せき しきょう）

関思恭（1697年3月9日 - 1766年2月8日）は、江戸時代中期の書家で、字は子粛、鳳岡と号し、墨指生とも称しました。通称は源内、本姓は伊藤氏で、水戸出身です。

生涯

関思恭の先祖は武田信玄の家臣だったとされ、曾祖父の伊藤友玄の代に水戸藩に仕えました。祖父の友近も同様に水戸藩に仕官しましたが、父の伊藤祐宗（道祐）は生涯仕官しませんでした。思恭は父と母（戸張氏）の第四子として水戸に生まれ、幼少の頃から書を好みました。16歳の時に江戸に出て、細井広沢に才能を見出され入門し、その筆法は広沢門下で第一と評されるほど優れていました。広沢が思恭に代書させるほど評判が高まりました。浅草待乳山の歓喜天の堂に掲げられている『金龍山』の扁額は広沢の落款印がありますが、実際には思恭が代筆したものです。

思恭は経学を太宰春台に、詩文を天門から学び、射術にも優れていました。27歳で文学をもって土浦藩に仕え、禄を得ました。細井広沢の没後、三井親和と並び称され、その評判はさらに高まり、門弟は約5千人を擁したと伝えられています。40歳で妻帯し、3人の娘をもうけました。60歳頃から神経痛を患い歩行が困難となりましたが、運筆の力は衰えませんでした。69歳で亡くなり、江戸小石川の称名寺に葬られました。門人には関口忠貞がいます。娘婿の其寧が跡を継ぎ、孫の克明、曾孫の思亮、その子の雪江も書家として名声を得ました。

また、関思恭は宋の婁機が著した『漢隷字源』を出版しました。

参考文献

三村竹清『近世能書伝』二見書房、昭和19年。
水田紀久篇「続補日本印人伝」『日本の篆刻』 中田勇次郎編 二玄社、1966年。

関連文献

山崎美成『名家略伝 巻三』
細井九皋『墨道私言』

関連項目

* 日本の篆刻家一覧

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