関衛

関衛中佐：太平洋戦争を駆け抜けた急降下爆撃のパイオニア

関衛（せき まもる、1909年3月8日-1942年10月26日）は、日本海軍の軍人であり、太平洋戦争において輝かしい戦果を残したパイオニアとして知られています。海軍中佐にまで上り詰めた彼の生涯は、名門の家系に生まれ、数々の激戦を生き抜いた、波乱に満ちたものでした。

名門の家系と海軍への道

関衛は、山形県米沢市で、海軍大佐を務め日本海海戦にも参戦した父・関才右衛門と、旧米沢藩士の娘である母・ヤスの間に生まれました。伯父には海軍中将を務めた左近司政三がおり、生粋の軍人家庭で育ちました。府立五中を経て、1926年、海軍兵学校58期に入校。当時導入されていたダルトンプラン教育を受けた後、1930年に卒業。少尉候補生として装甲巡洋艦「八雲」に配属され、司令官である伯父・左近司政三の下、地中海方面への遠洋航海に参加するなど、貴重な経験を積みました。1932年4月には海軍少尉に任官しています。

急降下爆撃の開拓者

1933年、関は練習航空隊飛行学生となり、館山海軍航空隊を経て爆撃機搭乗員となります。そして、和田鉄次郎とともに、日本海軍における初の急降下爆撃機操縦員の一人となりました。この当時から、奥宮正武らと共にハインケル製の急降下爆撃機を用いた新たな爆撃術の研究開発に携わり、その高い能力で頭角を現し、部内での権威者となりました。軍事航空史の研究家である渡辺洋二は、関の卓越した性格が既にこの頃から輝きを放っていたと証言しています。その後は霞ヶ浦海軍航空隊教官などを歴任しました。

日中戦争と太平洋戦争

日中戦争では、空母「龍驤」分隊長として広東攻略戦に参加し、感状を受賞するなど、早くからその能力を発揮しました。1941年10月には海軍少佐に昇進。太平洋戦争開戦時には宇佐海軍航空隊教官として迎え、豊田穣など多くの艦上爆撃機搭乗員に実用機教程を指導していました。

1942年7月、関は第三艦隊の空母「翔鶴」飛行隊長に就任し、攻撃隊総隊長を兼任。同期生の村田重治が率いる「翔鶴」艦上攻撃機隊を指揮下に置き、数々の激戦に参加しました。

ソロモン海戦と南太平洋海戦での活躍と最期

1942年8月、第二次ソロモン海戦では、第一次攻撃隊を率いて、九九式艦上爆撃機27機と零式艦上戦闘機10機で米空母「エンタープライズ」に爆弾3発を命中させるという大戦果を挙げました。この攻撃は、急降下爆撃の技術と、関の優れた指揮能力の賜物であったと言えるでしょう。

同年10月26日、南太平洋海戦に参加。第二次攻撃隊指揮官として、九九艦爆19機と零戦5機を率いて攻撃に向かいました。攻撃隊の機数が少なかったのは、同時出撃予定だった「瑞鶴」隊の母艦にレーダーがなかったこと、また、過去の戦闘による損害の補充が間に合わなかったことが原因でした。関隊は米空母「エンタープライズ」に爆弾3発を命中させましたが、戦闘中に被弾し、炎に包まれて戦死しました。日本側の目撃証言では駆逐艦に突入して自爆したとされていますが、米側の記録には「ホーネット」への突入も記されています。関の奉職履歴にある有馬大尉の見認証書には、「敵『エンタープライズ』型航空母艦に急降下爆撃を行った」とあります。戦死による特進で海軍中佐となりました。

関衛中佐が残したもの

関衛中佐は、短い生涯のうちに、急降下爆撃の技術革新に貢献し、数々の激戦を戦い抜き、日本海軍に多大な功績を残しました。彼の勇気と決断力、そして卓越した指導力は、後世の海軍関係者に大きな影響を与え続け、今もなお語り継がれています。彼の名は、太平洋戦争における日本海軍のパイオニアとして、そして、その勇敢な生き様を通して、永遠に記憶されるべきでしょう。

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