関野善次郎

関野善次郎：激動の時代を駆け抜けた政治家・実業家

関野善次郎（せきの ぜんじろう）は、嘉永6年（1853年）に生まれ、昭和10年（1935年）に没した、日本の政治家、実業家です。衆議院議員、富山市長を歴任し、富山の発展に大きく貢献しました。能登国鹿島郡八幡村（現在の石川県七尾市八幡町）で豪農の家に生まれ、後に富山市の呉服商の養子となります。ここでは、関野善次郎の生涯と業績を詳細に解説します。

生い立ちと初期の活動

関野善次郎は、神野太平次の六男として生まれました。元治元年（1864年）に富山市の呉服商・関野善右衛門の養子となり、家督を相続。富山藩より長町人（おとなちょうにん）に任じられ、呉服物御用方、藩金融通所手添役を歴任しました。明治維新後は、戸長、富山連合町会議員、同議長を務めるなど、地域社会のリーダーとして活躍しました。

政治家としての活躍

1882年、越中改進党の結成に参画し、1884年には『中越新聞』を発刊するなど、富山県の改進党系の指導者として活動しました。富山市会議員、同議長、富山県会議員、同議長なども務め、1890年7月には第1回衆議院議員総選挙に富山県第一区から出馬し、見事当選。その後も、第2回（補欠選挙）、第3回、第7回、第9回総選挙で当選を果たし、衆議院議員として活躍しました。

富山市長としての功績と苦難

1907年12月12日、関野善次郎は富山市長に就任します。市長として、富直線開通の促進、市内道路網の整備、近隣村との合併の促進、富山市史編纂事業の着手など、数々の事業を推進しました。しかし、1909年、日本製糖汚職事件に関与したとして検挙され、同年5月7日に市長を辞任。同年7月3日には、東京地方裁判所において有罪判決を受けました。これにより勲四等を褫奪されましたが、その後も政治活動を続け、1915年3月の第12回総選挙で衆議院議員に再選。通算6期務めました。

実業家としての顔

関野善次郎は、実業界でもその手腕を発揮しました。第百二十三国立銀行の設立に加わり取締役に就任。その他、第十二国立銀行頭取、富山商業会議所会頭、米穀肥料取引所理事長、富山日報監査役、富山電気監査役、富山県農工銀行監査役、中越鉄道取締役などを歴任しました。

人物像と家族

関野善次郎の住所は富山市袋町にありました。養父は善右衛門、妻はヤヰ。長男は善郎、二男は幸次郎です。幸次郎は神野良の養子となりました。

関野善次郎は、政治家、実業家として、激動の時代を駆け抜けました。富山の発展に尽力したその功績は、今もなお語り継がれています。

参考文献

• - 人事興信所編『人事興信録 第5版』人事興信所、1918年。
• - 雨宮昭一「日糖事件 - 汚職事件と検察権の拡大」『日本政治裁判史録　明治・後』第一法規出版、1969年。
• - 歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第2巻、歴代知事編纂会、1984年。
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『富山大百科事典 上巻』北日本新聞社、1994年。

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