阪東三右衛門

阪東三右衛門について

阪東三右衛門（ばんどう さんえもん、1895年 - 1942年）は、日本の俳優であり歌舞伎役者として、素晴らしい業績を残した一人です。彼は本名を榎本正（えのもと ただし）と言い、歌舞伎役者として最初は阪東三吉（ばんどう さんきち）、その後は中村吉之進（なかむら きちのしん）という名でも知られています。彼は十三代目守田勘彌の門下生であり、さらにはマキノ・プロダクションの剣戟映画のスターとしても活躍しました。

生い立ちと初舞台

阪東三右衛門は1895年、東京府（現在の東京都）に生まれました。彼の父、四代目市川紅若は、名門の俳優であったが、息子の三右衛門が誕生する1年前に襲名しました。父の影響を受け、三右衛門は7歳で初舞台を踏みました。初舞台は、父が襲名披露を行った春木座で上演された『佐倉義民傳』の末弟役でした。その後は、父と共に多くの劇場で出演し、歌舞伎の子役として成長を遂げました。

1916年1月には、十三代目守田勘彌に入門し、同年9月には「初代阪東三吉」の名題を得ることで実力を認められました。彼は、歌舞伎座や市村座、帝国劇場などで活動し、その後二代目市川猿之助の春秋座でもの舞台に出演しました。

映画業界への進出

1928年、三右衛門は京都の御室撮影所を持つマキノ・プロダクションに入社し、「阪東三右衛門」という名に改名しました。彼の映画デビュー作は同年7月公開の『天明果報談』で、主役の笹井新三郎を演じました。この作品をはじめ、1928年から1929年にかけて多数の映画に出演し、特に『弥次喜多』シリーズではコンビを組んだ根岸東一郎との共演で知られました。

彼の映画スタイルは、多くのコンビ作品とともに日本映画界に深く刻まれ、観客からの支持を集めました。しかし、1930年にマキノ・プロダクションを離れると、彼は再び歌舞伎の舞台へと戻り、阪東三吉の名で活動を再開しました。

歌舞伎への回帰とその後

マキノを退社した後、彼は阪東三吉として歌舞伎の舞台に復帰し、1931年には市川小太夫が主宰する「新興座」に参加しました。彼は『曾我物語』や『黒手組』など、様々な作品に取り組んでいきました。

阪東三右衛門のキャリアは、俳優としての多様な経験と映画界での成功を持つものであり、彼の名は今も多くの人々に記憶されています。彼は1942年にこの世を去るまで、多くの舞台と映画で活躍し続けました。

フィルモグラフィ

三右衛門が出演した作品には、以下のような代表的な映画があります。

• - 『天明果報談』 (1928年)
• - 『骨肉』 (1928年)
• - 『弥次喜多 第一篇』 (1929年)
• - 『地獄剣』 (1929年)
• - 『慶安太平記』 (1930年)

これらの作品は、彼の多才な演技力と存在感を示しています。俳優活動の中で、彼が与えた影響は非常に大きく、今もなおその実績は称賛されています。

総括

阪東三右衛門は、日本の伝統的な歌舞伎と映画の両方で多大な足跡を残した卓越した俳優です。彼の生涯は、俳優としての技能だけでなく、古典芸能と現代映画の交差を象徴するものでもありました。

もう一度検索