徳地町

徳地町（とくぢちょう）

徳地町は、かつて山口県の中央部に位置していた町です。佐波郡の中で唯一の町として、県内でも非常に広い面積を有していました。その面積は山口市全体の約40%を占めるほどでした。

2005年10月1日、徳地町は山口市、吉敷郡の小郡町、秋穂町、阿知須町と合併し、新たな山口市として生まれ変わり、その歴史に幕を閉じました。

地理

徳地町は、佐波川の上流、中国山地の山間部に位置していました。町の総面積の約9割を山林が占め、その中でも滑国有林は特に有名でした。

主な山:

狗留孫山
飯ヶ岳
野道山
石ヶ岳
津々良ヶ岳

主な河川:

佐波川
島地川

主な湖沼:

大原湖

隣接していた自治体:

山口市
防府市
阿武郡阿東町（現 山口市）
島根県鹿足郡柿木村（現 鹿足郡吉賀町）

歴史

徳地町の歴史は古く、太古の時代には朝廷の直轄地である徳地県が置かれていました。伝説によれば、出雲国の種族が移住し、この地を開拓したとされています。景行天皇の熊襲征伐の際には、その手助けをしたという言い伝えも残っています。

古くから良質な木材の産地として知られ、鎌倉時代には東大寺の復興に使用する木材が切り出されたと伝えられています。1180年に焼失した東大寺の復興に際し、徳地から切り出された木材が使用されたと言われています。

森林地帯であった当時、この地域には生業がありませんでした。東大寺の木材調達のために訪れた重源が、村人の貧困を憐れみ、紙や茶の製造を教えたと伝えられています。その後、紙の製造は地域の主要な産業となり、毛利藩政時代には藩の事業として大いに発展しました。徳地紙は名産品として全国に知られ、紙の買い付けに北前船の商人たちが訪れ、街は賑わいを見せました。しかし、明治時代に入り、藩の支援がなくなるとともに、徐々に衰退していきました。

昭和初期には、出雲村、八坂村、柚野村を下徳地、島地村、和田村、串村を上徳地と呼んでいました。昭和、平成と合併を繰り返し、山口市に編入されました。旧徳地町地域は、過疎化が進み、限界集落となっています。

沿革

1955年（昭和30年）4月1日 - 出雲村・島地村・串村・八坂村・柚野村が合併し、徳地町が発足。
1955年（昭和30年）11月1日 - 旧串村の一部（大字巣山）を都濃郡鹿野町に編入。
2005年（平成17年）10月1日 - 山口市・吉敷郡秋穂町・阿知須町・小郡町と合併し、改めて山口市が発足。同日、徳地町は廃止。

産業

徳地町では、稲作、肉用牛の生産、そして林業が盛んに行われていました。山林の樹種はスギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹が大部分を占めていますが、コウゾやミツマタなど、紙の原料となる木も存在します。これらの木材から作られる和紙は、徳地和紙として、その文化が今もなお受け継がれています。

交通

鉄道
1964年までは町内を防石鉄道が通っていましたが、現在は鉄道は通っていません。最寄りの駅は山陽本線防府駅または山口線の宮野駅・仁保駅です。
バス路線
防長交通
1992年頃までは防石鉄道としてバスを運行していましたが、長年の赤字により防長交通に吸収されました。
徳地町営バス
道路
高速道路
徳地インターチェンジ
一般国道
国道376号
国道489号
主要地方道
山口県道9号徳山徳地線
山口県道24号防府徳地線
山口県道26号山口鹿野線
一般県道
山口県道123号柿木山口線
山口県道169号湯野山畑線
山口県道180号串夜市線
山口県道184号三田尻港徳地線
山口県道192号串戸田線
山口県道334号引谷篠目線

主要施設

山口県立佐波高等学校
長者ヶ原国立青少年自然の家

観光スポット

月輪寺
花尾八幡宮
堀の出雲神社
岸見の石風呂
観念寺の石風呂
福田貝館
佐波川関水

出身者

[松浦晃一郎]] - [[国際連合教育科学文化機関]事務局長。島地出身。
松原治 - 紀伊國屋書店代表取締役会長兼CEO。
宇多田照實 - 音楽プロデューサー、コンポーザー。宇多田ヒカルの父。藤木出身。
林滝野 - 与謝野鉄幹の2番目の妻。
島地黙雷
栃忠秀昭 - （十両力士）
橋本学 - ハルカミライのVo
* 牛見和博 - （弁護士）

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