阿部主計

阿部主計：随筆と翻訳の世界

阿部主計（あべ かずえ）は、1909年5月22日に生まれ、2006年6月27日に没した日本の随筆家、翻訳家です。彼は日本推理作家協会の名誉会員でもありました。

生涯

阿部は東京都で生まれ、1927年に東京高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業しました。その後、慶應義塾大学国文科に進み、卒業しています。

著書

阿部は、日本の伝統文化や怪奇現象に関する著書を執筆しました。代表的な著書として、以下が挙げられます。

『妖怪学入門 日本の妖怪・幽霊の歴史』（雄山閣出版） 1968年
『伝統話芸・講談のすべて』（雄山閣出版） 1999年3月

『妖怪学入門』は、日本の妖怪や幽霊の歴史を解説した入門書であり、一般読者にも分かりやすく、妖怪の世界を紹介しています。
『伝統話芸・講談のすべて』は、日本の伝統的な話芸である講談について、その歴史や演目、演者の魅力などを詳しく解説した書籍です。

翻訳

阿部は、ミステリー小説を中心に数多くの翻訳も手がけました。以下に代表的な翻訳作品を挙げます。

『びっこのカナリヤ』（E・S・ガードナー、早川書房） 1956年、のち改題文庫化『カナリヤの爪』
「ハロウビー館のぬれごと」（ジョン・K・バングズ、早川書房、世界探偵小説全集『幻想と怪奇 第2』収載） 1956年
「デイキンスン夫人の秘密」（ニック・カーター、早川書房、世界探偵小説全集『名探偵登場 第1』主催） 1956年
「奇妙な跡」（バルドイン・グロルラー、東京創元社、世界推理小説全集『世界短篇傑作集 第1』収載） 1957年
「茶の葉」（E・ジェプスン, R・ユーステス、東京創元社、世界推理小説全集『世界短篇傑作集 第1』収載） 1957年
「爪」（ウィリアム・アイリッシュ、東京創元社、世界推理小説全集『世界短篇傑作集 第2』） 1957年
『変身』（アーサー・マッケン、 新人物往来社、怪奇幻想の文学 第2） 1969年
『音のする家』（M・P・シール、新人物往来社、怪奇幻想の文学 第4） 1970年
『天外消失』（クレイトン・ロースン、早川書房、世界ミステリ全集18） 1973年

E・S・ガードナーの『びっこのカナリヤ』は、阿部による翻訳で広く親しまれ、後に『カナリヤの爪』と改題されて文庫化もされました。

阿部主計の業績

阿部主計は、随筆家、翻訳家として、日本の文学界に貢献しました。彼の著書や翻訳は、多くの読者に親しまれ、日本の文化やミステリーの世界を豊かにしました。特に、ミステリー小説の翻訳においては、海外の優れた作品を日本に紹介し、日本のミステリーファンに大きな影響を与えました。

関連事項

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