阿部正耆

阿部 正耆（あべ まさひさ）

阿部正耆は、江戸時代後期を代表する大名の一人で、陸奥国白河藩の第6代藩主に就任しました。彼は文政12年（1829年）10月24日に生まれ、その血脈は阿部家の忠秋系14代目にあたります。

生い立ちと養子縁組

正耆は、父・阿部正粹の次男として誕生しましたが、若くして先代藩主である阿部正定が亡くなると、阿部正外という養子を迎え入れ、藩主の地位を引き継ぐことになります。嘉永元年（1848年）、正定が急逝した結果、まだ成熟していない彼は藩の運営において初めて重責を担うこととなりました。

官位と政治活動

彼は嘉永2年（1849年）に奏者番に任命されましたが、文久の改革に伴い、この制度が打ち切られることになります。これにより、正耆は幕末の動乱の中で、主に攻撃的防衛に関与しました。特に、松平容保のもとで警備活動を精力的に行い、江戸、大坂、京都の守護職を担うなど、佐幕派の一員として活躍しました。

政局の変動と戦乱に包まれたこの時期に、正耆は逃げることなく自らの役割を全うしようと努力しましたが、運命は残酷でした。嘉永3年（1863年）12月、彼は病に倒れ、同月20日にこの世を去ります。享年わずか36歳という短い生涯でした。正耆が死去したとされる日付には元治元年（1864年）3月2日との説もあり、彼の死は決して忘れ去られることのない事件として記憶されています。

家族と後継

正耆の次男・正功は幼少であったため、養子である正外が藩主の跡を継ぐこととなりました。正耆の妻は二人あり、正室には豊があり、一説には阿部正寧の娘、あるいは真田幸栄の娘であったとも言われています。また、側室には弦尾が存在し、正耆との間には次男の正功が生まれています。

系譜

• - 父: 阿部正粹（実父）
• - 養父: 阿部正定
• - 正室: 豊（阿部正寧の娘もしくは真田幸栄の娘）
• - 側室: 弦尾
• - 子: 阿部正功（次男、生母：弦尾）
• - 養子: 阿部正外（阿部正蔵の次男）

このように、阿部正耆は短い生涯の中で、藩主として多くの責務を全うし、同時に幕末の激動の中で自らの立場を確立しようとしました。その存在は江戸時代の大名の中でも記憶に残るものとなっています。

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