陳旭 (雲陽伯)

陳旭（ちん きょく）

陳旭は、生年不詳ながら1410年に没した明代の武将です。滁州全椒県を本貫とします。

生涯

陳旭は、父である陳彬の跡を継ぎ、指揮僉事の官職に就きました。その後、会州衛指揮同知となりました。1399年、靖難の変が勃発すると、陳旭は守っていた城ごと燕王朱棣に降伏し、その麾下に入ります。

朱棣に従い、灤河流域を転戦し、真定での戦いでは特に奮戦しました。1400年には徳州の守備を任されますが、盛庸の軍勢が徳州に侵攻すると、陳旭は城を放棄して逃走。しかし、この敗戦の責任を問われることはありませんでした。朱棣が滄州を攻撃する際には、徐理と共に直沽で浮橋を建設し、軍勢を渡河させるという重要な役割を果たしました。

1402年、陳旭は朱棣に従い南京に入城。朱棣が永楽帝として即位すると、その功績により雲陽伯に封じられ、1000石の禄を賜りました。1403年には、中都鳳陽府および直隷衛所の軍馬や城池の巡視を命じられます。

1406年、陳旭は英国公張輔に従い、交趾遠征に参加し、右参将を務めました。豊城侯李彬と共に西都を攻略するという功績を挙げ、1408年に凱旋した際には、500石の禄が加増されました。

1409年、陳季拡が明に叛乱を起こすと、陳旭は再び張輔に従い交趾へ赴きました。同年8月には、朱広、兪譲、方政らと共に舟で進軍し、矢戦の末、3000人を斬首。後陳朝の監門将軍潘低ら200人以上を生け捕りにし、400隻以上の船を鹵獲するという大きな戦果を上げました。

1410年、張輔が召還されると、陳旭は交趾に留まり沐晟の補佐を命じられますが、同年3月、軍中で病没しました。後継となる男子がいなかったため、雲陽伯の爵位は断絶しました。

まとめ

陳旭は、明代初期の混乱期に頭角を現した武将であり、靖難の変で朱棣に降伏して以降、その忠実な部下として各地を転戦。特に交趾遠征では数々の戦功を挙げ、その勇猛ぶりを示しました。しかし、後継者に恵まれず、その爵位は一代で終わりました。彼の生涯は、明初における軍人たちの興亡を物語る一例と言えるでしょう。

参考文献

* 『明史』巻146 列伝第34

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