陳表

陳表（ちん ひょう）

陳表（204年 - 237年）は、三国時代の呉に仕えた武将で、字は文奥。

生涯

庶子として生まれた陳表は、若い頃からその名を知られていました。諸葛恪、張休、顧譚らと共に孫登の友人となり、太子中庶子に任じられます。

曁艶と親交がありましたが、曁艶が失脚した後も彼を非難せず、その義理堅さから士人たちの尊敬を集めました。孫権が即位し、孫登が皇太子となると、陳表は諸葛恪らと共に「太子四友」と呼ばれるようになります。

異母兄の死後、生母が嫡母の言うことを聞かなくなった際、陳表は人倫の道に従い生母を諫め、二人の関係を修復させました。この一件で、彼の名声はさらに高まります。

武将の息子として、陳表自身も武人としての道を志し、500人の兵を与えられました。兵士たちをよく遇したため、彼らもまた職務に励みました。

無難軍の兵士である施明が官物盗難の疑いをかけられた際、孫権は陳表にその取り調べを任せました。陳表は施明を手厚くもてなしたところ、施明は感動して罪を自白し、仲間を全て明かしました。孫権は陳表の才能を喜び、施明のみを赦免し、他の仲間を処刑しました。施明は後に将軍にまで昇進しています。

陳表は昇進を重ね、無難軍の右部督となり都亭侯を与えられ、家の爵位を継ぐことを許されましたが、これらを全て辞退し、甥の陳延に与えるよう願い出ました。しかし、孫権はこれを許しませんでした。

234年、新安都尉として諸葛恪に従い山越を討伐し、その功績により租税免除の小作人を与えられました。しかし、陳表は彼らの素性を調査し、兵士として উপযুক্তな者たちの小作人からの辞退を願い出て、自らの部隊に採用しました。孫権は初め反対しましたが、陳表の熱意に打たれ、代わりに軍役に堪えられない者を小作人として与えました。

都尉の職にあった3年間、呉で起こった内乱の鎮圧に貢献し、1万人の山越兵を得ました。任地からの帰還途中、鄱陽郡で呉遽が反乱を起こすと、陸遜と共にこれを鎮圧し、偏将軍・都郷侯に任じられました。

当時、呂壱が権勢を振るい、家臣の昇進や処罰を恣にしていました。建安太守の鄭冑が呂壱の讒言によって罪に問われた際、陳表は潘濬と共に孫権を諫め、鄭冑を無罪放免にしました。

その後、陳表は34歳という若さで亡くなりました。兵士を労わることを第一としたため、家にはほとんど財産が残っておらず、遺族が困窮するほどでした。孫登はこれを憐れみ、遺族のために家を建てて与えました。彼の跡は子が継ぎ軍勢を預かりましたが、早世したため、甥たちが軍勢を引き継ぎました。

陳寿は陳表について、「武将の庶子でありながら、大家の嫡子や名士と同様に重用され、同輩の中から抜きん出たのは素晴らしいことではないだろうか」と評しています。裴松之は「陳表は父以上の才能の持ち主だった」と評しています。

小説『三国志演義』には登場しません。

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