潘濬

潘濬（はん しゅん）

潘濬（はん しゅん）は、後漢末期から三国時代の呉にかけて活躍した武将・政治家です。字は承明（しょうめい）。荊州武陵郡漢寿県（現在の湖南省常徳市漢寿県）の出身で、妻は蔣琬（しょうえん）の妹、従兄は同じく蜀漢の重臣である蔣琬です。子に潘翥（はんしょ）・潘祕（はんぴ）がおり、娘は孫慮（そんりょ）に嫁ぎました。

生涯

若くして宋忠（そうちゅう）に学問を学び、聡明さと弁舌の才を発揮して王粲（おうちさん）に高く評価され、荊州で名声を得ました。劉表（りゅうひょう）に仕えて江夏郡（こうかぐん）の従事となり、汚職官吏を厳しく処罰して郡の秩序を回復させ、湘郷県令（しょうきょう県令）としても優れた治績を挙げました。

劉備（りゅうび）が荊州を治めるようになるとその配下となり、益州（えきしゅう）侵攻後は荊州の事務を任されました。劉備からは信任されましたが、関羽（かんう）とは親交を結びませんでした。

建安24年（219年）、糜芳（びほう）・士仁（しじん）の裏切りにより荊州が孫権（そんけん）に占領されると、潘濬は帰順を拒否しましたが、孫権に説得され呉に仕えることになりました。輔軍中郎将（ほぐんちゅうろうしょう）に任じられて荊州の軍事を委ねられ、後に奮威将軍（ふんいしょうぐん）に昇進、常遷亭侯（じょうせんていこう）に封じられました。

武陵蛮（ぶりょうばん）や習珍（しゅうちん）の反乱鎮圧で功績を挙げ、異民族懐柔に尽力しました。孫権が皇帝に即位すると、少府（しょうふ）、太常（たいじょう）を歴任し、陸遜（りくそん）と共に武昌（ぶしょう）の守備を担当しました。

潘濬は法を重んじ、公正な人物として知られていました。歩騭（ほしつ）が兵力増強のために周辺郡で兵士を募集することを願い出た際、民衆への悪影響を懸念して反対し、孫権に受け入れられました。また、横暴な振る舞いが目立っていた徐宗（じょそう）を斬り、その功績を称えられました。魏からの降伏者である隠蕃（いんばん）を警戒し、その正体を見抜きました。

五渓蛮（ごけいばん）の反乱鎮圧にも尽力し、数万の敵を討ち取るか捕虜にするという大戦果を挙げました。この功績により、五渓蛮は衰退に向かいました。

蜀漢の蔣琬が大将軍に就任すると、潘濬の蜀との内通を疑う声が上がりましたが、孫権はこれを退け、潘濬への信頼を示しました。

呂壱（りょいつ）が権勢を振るい、政治を壟断すると、潘濬は陸遜と協力してその排除を計画しました。呂壱の悪事を孫権に訴え続け、最終的に呂壱は処刑されました。

赤烏2年（239年）に亡くなりました。跡を継いだ息子の潘翥が若くして亡くなったため、弟の潘祕が後を継ぎました。

人物・逸話

孫権が雉狩（きぎすかり）を好むのを諫め、雉の羽毛で作った飾りを壊して、雉狩りをやめさせました。

評価

陳寿（ちんじゅ）は、潘濬を「私欲を求めず国家に尽くし、大胆に事を行い節操を貫き通した、大丈夫として最高の仕事を成し遂げた」と高く評価しました。歩騭も潘濬を高く評価していました。

陸機（りくき）は、潘濬を顧雍（こよう）・呂範（ろはん）・呂岱（りたい）らと共に孫呉の主要な家臣として評価しました。

三国志演義

小説『三国志演義』では、関羽の家臣として登場しますが、重要な役割は与えられていません。

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