陶隆康

陶隆康（すえ たかやす）：大内氏を支えた忠義の武将

陶隆康は、戦国時代の武将であり、大内氏の重臣として知られています。父は右田弘詮で、大内氏の当主に側近として仕え、重用されました。陶隆弘、宇野元弘は彼の息子です。

生涯

隆康は右田弘詮の子として生まれ、父と同様に大内氏に仕え、その側近として活躍しました。永正14年（1517年）に家督を譲り受け、大内氏の家臣としての地位を確立します。

しかし、天文11年（1542年）の月山富田城の戦いの敗北後、主君である大内義隆は政治への関心を失ってしまいます。天文20年（1551年）には、武断派の筆頭であった陶隆房（後の陶晴賢）が、ついに謀反を起こし、義隆を討つために居城である富田若山城から兵を進めます（大寧寺の変）。

隆康にとって隆房は同族であり、従兄の息子で甥にあたる関係でしたが、彼は主君である義隆を守ることを決意し、嫡男である隆弘と共に義隆に従いました。

陶隆房の侵攻の知らせを受けた義隆は、大内氏館・築山館から、防戦に有利な山麓の法泉寺へと退避し、本堂に本陣を構えます。冷泉隆豊らが嶽の観音堂・求聞寺山などを守備しましたが、義隆に味方する重臣は少なく、集まった兵力も2,000〜3,000人程度にとどまりました。そのため、組織的な抵抗はほとんどできず、法泉寺の義隆軍からは逃亡兵が相次ぎました。

義隆は山口を放棄し、長門国へと逃亡することを決意します。同年8月28日、隆康は嫡男・隆弘と共に法泉寺において殿（しんがり）を務め、壮絶な戦死を遂げました。この時、同年に生まれたばかりの次男・鶴千代丸（後の宇野元弘）は難を逃れ、後に毛利元就に仕えることになります。

隆康の死は、大内氏の衰退を象徴する出来事の一つであり、彼の忠義は後世に語り継がれています。

参考文献

『萩藩閥閲録』巻61「宇野与一右衛門」

注釈

陶隆房の謀反は、大内氏の勢力争いが激化した結果であり、隆康の死は、その混乱の中で起きた悲劇と言えるでしょう。
* 隆康の次男・宇野元弘は、後に毛利氏に仕え、その家臣として活躍しました。

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