冷泉隆豊

冷泉隆豊（れいぜい たかとよ）は、戦国時代の武将であり、大内氏に仕えた家臣です。正五位下・左衛門少尉の官位を有していました。

出自と前半生

冷泉氏は、大内氏の支流である多々良氏を本姓としています。隆豊の父である冷泉興豊が、母方の家名である冷泉を фамилияとしました。永正8年（1511年）に冷泉興豊の子として生まれ、平賀弘保の娘を正室としました。

早くから大内義興に仕え、その死後は子の義隆に仕えました。初めは義隆から偏諱を受け隆祐と名乗り、後に父の一字を取って隆豊と改名しています。大内氏の水軍を率い、大永7年（1527年）には安芸国へ進出して戦いました。

大内氏家臣としての活躍

天文年間には、大内義隆を通じて足利義晴の御供衆となっています。天文6年（1537年）には従五位下に叙任され、検非違使如元となりました。天文10年（1541年）には、安芸武田氏の居城であった安芸佐東銀山城主となります。天文11年（1542年）には、義隆に従って尼子氏の出雲国へ遠征（月山富田城の戦い）しますが、撤退を余儀なくされています。

天文15年（1546年）には伊予国へ進出し、翌年には中途島を攻めました。陶隆房の謀反の噂が広まると、隆豊は義隆に陶隆房の誅殺を進言しますが、受け入れられませんでした。

[[大寧寺の変]]と壮絶な最期

天文20年（1551年）、陶隆房がついに挙兵します。義隆は山口を脱出し、石見国の吉見正頼を頼ろうとしますが、嵐のために断念し、長門国の大寧寺へ入ります。陶軍に包囲されると義隆は自害し、隆豊は介錯を務めた後、自身も陶軍に突撃して討ち死にしました（[[大寧寺の変]]）。

その最期は壮絶で、攻め寄せる敵兵が恐れをなすほどだったと伝えられています。隆豊は火をかけた経蔵に入り、辞世を詠んだ後に十文字に切腹し、内臓を天井に投げつけて果てたと言われています。隆豊が籠もった経蔵に続く坂道は、現在も冷泉坂と呼ばれています。

辞世の句は「みもや立つ　雲も煙もなか空に　さそいし風の　末ものこさず」です。

武勇に優れていただけでなく、和歌にも通じた智勇兼備の士であり、その忠義ぶりは高く評価されています。

子孫

子の元豊は毛利氏に仕え、門司城代を務めましたが、永禄5年（1562年）に大友氏の攻撃により討ち死にしました。その跡は元豊の弟である元満が継ぎ、水軍の将として活躍しましたが、慶長2年（1598年）の慶長の役で討ち死にしました。山口県岩国市周東にある冷泉屋敷跡は、隆豊らの居館跡と考えられています。

逸話

妻の姉の夫である平賀清恒は、[[大寧寺の変]]後、厚狭に逃れて田畑を開墾し、三年寝太郎のモデルになったという伝承があります。

登場作品

* 『毛利元就』（1997年、NHK大河ドラマ、演：春田純一）

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