離婚 (映画)

映画『離婚』について

映画『離婚』は、1952年に公開された、日本の長篇劇映画で、監督はマキノ雅弘が務めました。新東宝配給の作品の中では、マキノが手掛けた6作のうちの第2作目にあたります。この映画は、現代劇を題材とした女性映画であり、特に家庭内の女性の葛藤と、それに伴う感情を描いた作品として評価されています。

製作背景とスタッフ

この映画の製作は、1948年に吉本プロダクションとの提携の下で進められたことから始まります。太泉スタジオが製作にあたり、その作品のスタートは『肉体の門』からでした。『離婚』の美術デザインは、グラフィックデザイナーの河野鷹思が担当し、彼は新東宝が設立されて以来、多くの映画作品でセットデザインを手がけてきました。

スタッフの主なメンバーは以下の通りです:

• - 監督: マキノ雅弘
• - 脚本: 小国英雄
• - 撮影: 山中晋
• - 美術: 河野鷹思
• - 音楽: 鈴木勝一
• - プロデューサー: 佐野宏、松村愼一郎
• - 製作: 東京プロダクション

映画は白黒で制作され、スタンダードサイズのフォーマット（1.37:1）でモノラル録音が施されています。

キャスト

映画『離婚』には、以下のキャストが出演しています:

• - 田中春男 - 相馬文夫
• - 木暮実千代 - 相馬道子
• - 英百合子 - 相馬夏野
• - 杉狂児 - 相馬正直
• - 志摩春子 - 北澤貞子
• - 江川宇禮雄 - 山村省吾
• - 吉村美沙子 - 山村俊子
• - 田崎潤 - 式部謙作
• - 宗方規子 - 宮脇田鶴子
• - 佐分利信 - 佐久間大介
• - 斎藤達雄 - 酒井半藏
• - 飯田蝶子 - 喜久代

ストーリーの概要

物語の中心は、相馬一家の妻、道子（木暮実千代）です。彼女は、夫相馬文夫（田中春男）とともに家庭を構えていますが、この家族は文夫の母、夏野（英百合子）が実際に家を支配しているという特殊な構造を持っています。

冬のある日、道子は夫の従兄である式部謙作（田崎潤）とその恋人宮脇田鶴子（宗方規子）とともにスキーに出かけ、吹雪に遭ってしまいます。道子は、山小屋に避難する途中で謙作と別れ、そこで見知らぬ男と出会います。この男の影響で道子は自然と心を奪われていきます。

しかし、道子が山から帰ると、嫉妬心から田鶴子が彼女を中傷し、相馬家の人々によって厳しく詰問されます。道子は自ら潔白を立証するために、山小屋での出来事を明らかにしようとしますが、夏野は彼女を冷酷に追い詰め、最終的には離婚訴訟をほのめかす脅しをかけます。

この過程で道子は、常に母親の意向に従う夫に失望し、心の中で謙作に惹かれ始めます。しかし、謙作はその感情を友情であるべきだと否定し、村社会の人々の目は常に道子に向けられています。

道子は、兄の省吾（江川宇禮雄）からの提案で知り合いの牧場を訪れますが、再び謙作に遭遇。一連の出来事を経て、彼女は自らがどうあるべきかに気付き始めます。再び訪れた山小屋で、見知らぬ男が兄の友人、佐久間大介（佐分利信）であったことを知り、佐久間が長年彼女を愛していたということを理解します。

この映画は、家庭内の人間関係や感情の葛藤を描いており、見る者に強い印象を与えます。道子の選択は、彼女の人生と周囲の人々の関係を大きく変えることになるのです。

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