難波国勝

難波国勝（なにわ の くにかつ）は、飛鳥時代に活躍した豪族の一人です。別名として難波吉士国勝（なにわ の きし くにかつ）とも呼ばれていますが、その生没年は不明です。

『日本書紀』には、皇極天皇元年（642年）に、朝鮮半島で百済と高句麗で相次いで政変が起こったことが記されています。この事態を受け、大和政権は朝鮮半島への使節派遣を決定しました。その際、高句麗には津守連大海（つもり の むらじ おおあま）が、百済には国勝吉士水鶏（くにかつ の きし くいな）が派遣されました。

さらに14年後の斉明天皇2年（656年）にも、難波吉士国勝に関する記述が見られます。このことから、皇極元年に派遣された国勝吉士水鶏と、斉明天皇2年に記録されている難波吉士国勝が同一人物である可能性が指摘されています。しかし、一方で、国勝と水鶏はそれぞれ別の人物であるとする説も存在し、難波国勝の実像は謎に包まれています。

皇極元年の使節には、新羅へ派遣された草壁吉士真跡（くさかべ の きし まと）、任那へ派遣された坂本吉士長兄（さかもと の きし ながえ）の名前も記されており、この時代に吉士氏族が外交の場で重要な役割を担っていたことがわかります。

また、『日本書紀』には、大化3年（647年）に新羅が人質の金春秋と共に孔雀一羽と合わせて鸚鵡を献上したという記述があります。これは、日本における鸚鵡に関する最古の記録として知られています。

これらの記録から、難波国勝は飛鳥時代の外交において重要な役割を担っていた豪族の一人であり、当時の国際情勢や外交政策を知る上で貴重な存在と言えるでしょう。

参考文献

『日本書紀』（四）、岩波文庫、1995年
『日本書紀』全現代語訳（下）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年
『日本の歴史2 古代国家の成立』、直木孝次郎：著、中央公論社、1965年
『日本古代氏族事典』【新装版】佐伯有清：編、雄山閣、2015年
『渡来氏族の謎』祥伝社新書、加藤謙吉：著、2017年

関連項目

日鷹堅磐
* 翹岐

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