難産

難産（なんざん）とは

難産とは、人為的な手助けなしに分娩が困難、または不可能となる状態を指します。この状態は、ヒトを含む胎生動物や、卵胎生動物において、特に胎児が大きい場合に起こりやすくなります。

難産の原因

難産の原因は多岐にわたります。

胎位の異常: 胎児の向きが通常と異なる場合。
胎児の過大: 胎児が大きすぎる場合。
胎児の奇形: 胎児に何らかの異常がある場合。
多胎妊娠: 双子などの場合。
産道の異常: 骨盤狭窄や子宮頸管の狭窄、閉鎖など。
陣痛の異常: 陣痛が弱い、または不規則な場合。

難産のリスク

難産は、母体と胎児に様々なリスクをもたらします。

母体の体力消耗: 分娩に時間がかかり、母体の体力が著しく消耗する。
母体と胎児の外傷: 分娩時に母体や胎児の体が物理的に損傷する。
後遺症: 外傷が回復せず、障害が残る場合がある。
母体または胎児の死亡: 最悪の場合、母体または胎児、あるいは両方が死亡する。

難産の対処：助産

これらのリスクを回避するために、助産が行われます。

帝王切開: 産道を通さずに胎児を取り出す外科的手法。
会陰切開: 産道を切開して分娩を容易にする（出産後に縫合）。
外力による補助: 外部から力を加えたり、胎児を正常な位置に戻してから再度分娩を試みる。
吸引・鉗子分娩: 助産師が胎児を掴んで牽引する。
陣痛促進剤の投与: 陣痛微弱の場合に、オキシトシンなどの薬剤で陣痛を促す。

難産の比喩的な用法

分娩が困難な状況から転じて、物事の成立が容易に進まない状況や、創作物・製品などの完成に非常に長い時間を要した場合を「難産」と表現することがあります。

関連項目

妊娠・出産・分娩
流産
死産
早産
生後直死
子宮捻転
子宮無力症
肉柱 - まれに胎子の産道内通過の障害となる。

参考文献

獣医学大辞典編集委員会編集　『明解獣医学辞典』　チクサン出版 1991年　ISBN 4885006104
山内亮監修 『最新家畜臨床繁殖学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460201
浜名克己, 中尾敏彦, 津曲茂久編　『獣医繁殖学 第3版』　文永堂出版　2006年　ISBN 4830032065

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