オキシトシン

オキシトシンとは

オキシトシン（英：Oxytocin、略称：OXT）は、視床下部の神経分泌細胞により合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。このホルモンは9つのアミノ酸からなるペプチドホルモンで、その構造は1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年には分子構造が解明されました。また、オキシトシンは注射剤として子宮収縮を促す目的で分娩時に使用されます。

基本的特徴

オキシトシンは、2つのシステイン、チロシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギンから成る大きな環状構造を持っています。環内の2つのシステインは、ジスルフィド結合によりつながっています。このホルモンは下垂体後葉におけるバソプレシンと構造的に類似しており、2つのアミノ酸の違いがあります。

作用

オキシトシンの主な作用は、末梢組織と中枢神経系での役割に分かれます。末梢組織では、特に平滑筋の収縮を促進し、分娩時には子宮の収縮を引き起こします。また、乳腺における筋線維を収縮させ、乳汁分泌を促す役割も持っています。オキシトシンは、もともとは女性特有の機能に必要なホルモンとして発見されましたが、後に男性にも存在することが確認されています。視床下部内の特定のニューロンから分泌され、脳内の様々な部位に作用して機能を調整します。

分泌調節

オキシトシンの分泌調節に関するメカニズムは依然として解明されつつありますが、エストロゲンがその分泌を促進することが知られています。オキシトシンは、分娩中の刺激や母乳からの乳首の刺激によって分泌されます。これによって合成が進み、オキシトシンの血中濃度が上昇します。このプロセスはシグナル伝達の正のフィードバックによって強化されます。

受容体

オキシトシンは、Gタンパク質共役受容体であるオキシトシン受容体と結合し、細胞内のシグナリングを活性化させます。これにより、神経系や子宮、乳腺などでの作用が引き起こされます。また、腎臓、心臓、胸腺、膵臓、脂肪組織にも存在しています。

臨床での使用

オキシトシンは、特に妊娠・分娩に関する医療現場で様々な用途があります。代表的な製品としてアトニン-Oがあり、その効能には分娩誘発、微弱陣痛の改善、弛緩出血の対処、胎盤の娩出促進などが含まれています。

研究とその他の影響

オキシトシンは情動的な絆や仲間意識の形成に関与しており、研究によってその重要性が示されています。また、ヒトに対する鼻投与の実験では、金銭取引における信頼感を高める作用が確認されています。一方、自閉症に対する治療効果については、まだ議論の余地があり、公式な治療法として承認されている国はありません。

まとめ

オキシトシンは、単なるホルモンとしての機能だけでなく、社交性や絆を形成する重要な役割を果たすホルモンです。今後の研究によって、オキシトシンの効果や機能がさらに明らかになることが期待されています。

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