雪が谷大塚駅

東京都大田区南雪谷二丁目に所在する、東急電鉄池上線の駅（駅番号：IK09）です。かつては「雪ヶ谷」や「雪ヶ谷大塚」とも表記されました。池上線の運行において重要な拠点駅の一つとなっており、特に早朝や夜間帯には当駅を始発・終着とする列車が設定されています。また、朝のラッシュ時には、五反田方面からの列車約3本に1本が当駅で折り返す運用が行われています。

当駅には、東急電鉄の池上線および東急多摩川線で使用される車両が所属する雪が谷検車区が隣接しており、これも運行上の役割が大きい要因となっています。歴史的には、現在の東急電鉄の前身の一つである目黒蒲田電鉄がかつて運行していた新奥沢線が、当駅から分岐していました。

歴史

雪が谷大塚駅の歴史は、1923年（大正12年）5月4日に池上電気鉄道の「雪ヶ谷駅」として開業したことに始まります。開業当初は、現在の位置よりも蒲田方面に約200メートル離れた場所に設置されていました。その後、1927年（昭和2年）8月19日には、現在の車両基地付近に「調布大塚駅」が開設されます。

1928年（昭和3年）10月5日には、雪ヶ谷駅から分岐する形で目黒蒲田電鉄新奥沢線が開通。これに合わせて、雪ヶ谷駅も約150メートル蒲田寄りに移設され、相対式ホームと新奥沢線用のホームが設けられました。現在の駅の位置に統合されたのは、1933年（昭和8年）6月1日のことです。この時に雪ヶ谷駅と調布大塚駅が統合され、現在の場所に移設されて「雪ヶ谷駅」となりました。しかし、新奥沢線は1935年（昭和10年）11月1日には廃止されています。

駅名の改称は2度行われており、1943年（昭和18年）12月に「雪ヶ谷大塚駅」に、そして1966年（昭和41年）1月20日に現在の「雪が谷大塚駅」となりました。

駅施設の近代化も進められています。1987年（昭和62年）10月21日には駅ビル建設に伴い、改札口が地上から2階に移設され、ホームも五反田寄りに延伸されました。駅ビルは1989年（平成元年）9月26日に完成しています。バリアフリー対応も進み、2000年（平成12年）には改札内外にエスカレーターが設置され、改札内にはエレベーターも導入されました。2017年（平成29年）4月には西口にもエレベーターが供用開始されています。

駅名の由来

現在の駅名は、統合された旧駅名である「雪ヶ谷駅」と「調布大塚駅」から一文字ずつ取って名付けられました。

「雪ヶ谷」という地名は、池上電気鉄道開業当時の所在地が荏原郡池上村大字雪ヶ谷であったことに由来します。地名に「雪」が付いた経緯については諸説あります。かつてユズが群生していたことから「柚木谷（ゆきや）」が転訛したという説や、この地域の土壌が白く、遠くから見ると雪が積もっているように見えたことから「雪谷戸（ゆきやと）」が転訛した、あるいはそのまま地名になったという説などが存在します。ちなみに、日本の鉄道駅名において「雪」の字が含まれるのは、この雪が谷大塚駅が唯一です。

一方、「調布大塚」は、駅が設置された当時の所在地が調布村大字鵜ノ木の飛地であった「字大塚」だったことに由来します。この「大塚」という地名は、調布大塚小学校の北西にある鵜木大塚古墳から名付けられました。字大塚は後の行政区画の変更を経て、現在の南雪谷二丁目の一部となっています。

駅構造と設備

雪が谷大塚駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅で、ホームの上部に駅舎が設けられている橋上駅舎構造です。サービスマネージャー導入駅であり、旗の台駅から遠隔での駅設備監視が行われています。また、東急電鉄の乗務員を管轄する雪が谷大塚乗務区も駅構内に設置されています。

ホームは4両編成に対応しています。五反田方面寄りの約1両分は回送列車専用となっており、安全柵が設置されています。蒲田方面には、列車の折返しや車両基地への入庫に使用される渡り線が設けられています。五反田方面から当駅で折り返す列車は1番線に到着し、乗客を降ろした後、この渡り線を介して雪が谷検車区へ向かい、再び渡り線を通って2番線に入線して五反田行きの始発列車となります。入庫列車は渡り線を渡ってそのまま検車区へ向かいます。

終電後には、上下線ともに列車が夜間停泊しています。この他にも、五反田側と蒲田側の双方に予備の留置線があり、通常は使用されませんが、車両故障時やダイヤの乱れによる車両交換、終電後の作業などに使用されることがあります。

利用状況と周辺施設

2024年度（令和6年度）の1日平均乗降人員は22,365人です。

駅周辺には、鵜木大塚古墳をはじめとする公共施設や生活関連施設が点在しています。主な施設としては、田園調布郵便局、大田南雪谷郵便局、警視庁田園調布警察署、東京消防庁田園調布消防署などの公共機関や、大田区役所調布地域庁舎、嶺町特別出張所といった行政サービス施設があります。

商業施設としては、オオゼキ雪谷店、東急ストア雪が谷店、オーケー田園調布店などのスーパーマーケットがあり、日々の買い物に便利です。また、アルプスアルパインやアストロデザインといった企業、相撲部屋である武隈部屋なども駅周辺に位置しています。中原街道沿いには学習塾が多いのも地域の特徴です。

駅周辺には東急バスの「雪が谷」停留所があり、蒲田駅、田園調布駅、多摩川駅、東京医療センター方面への路線バスが運行されています。

隣の駅

東急電鉄池上線
石川台駅 (IK08) - 雪が谷大塚駅 (IK09) - 御嶽山駅 (IK10)

かつて存在した路線
目黒蒲田電鉄新奥沢線
雪ヶ谷駅 - 諏訪分駅

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