雪潭紹璞

雪潭紹璞（せったんしょうぼく）は、享和元年（1801年）に紀伊国（現在の和歌山県）に生まれ、明治6年（1873年）に没した、江戸時代末期から明治時代初期にかけて活躍した臨済宗妙心寺派の僧侶です。

生涯

1801年、紀伊国牟婁郡高池村（現在の和歌山県東[[牟婁郡]]古座川町）で生を受けました。12歳で牟婁郡の大泰寺に入り、桐岳和尚のもとで禅の修行を始めましたが、18歳で寺を離れ、更なる修行を求めて美濃へと向かいました。美濃では、郡上八幡の慈恩寺や加茂郡加治田村の龍福寺で修行を重ね、天保2年（1831年）に桐岳和尚の後を継いで大泰寺の住持となりました。

天保12年（1841年）には、岐阜瑞龍寺の塔頭である天澤院に移り、民衆の教化に尽力しました。弘化4年（1847年）には、加茂郡の正眼寺に入山し、住持として寺の改革に取り組みました。正眼寺では、167年間続いていた輪住制を廃止し、独住制へと移行させました。また、鐘楼を修復し、僧堂を設置するなど、寺の環境整備にも力を注ぎました。妙心寺の命により、正眼寺は修行僧のための専門道場となり、雪潭紹璞が住持を務めた期間には、120人もの僧侶が在籍し、平均勤務期間は1.39年でした。

雪潭紹璞は身長が152cmと小柄で、体重も37.5kgに満たなかったと伝えられていますが、その声は雷のように大きく響き渡ったと言われ、「雷雪潭」という異名で呼ばれました。修行は非常に厳しく、「鬼叢林」と恐れられるほどでした。

安政6年（1859年）には、正眼寺において、関山慧玄の没後五百年大遠諱法要を執り行いました。慶応元年（1865年）5月には、美濃長良の眞福寺に隠居しました。その後、泰龍文彙が法灯を継ぎました。慶応3年（1867年）には、孝明天皇より真如明覚禅師の名号を賜りました。

明治6年（1873年）9月18日、眞福寺にて生涯を閉じました。

人物

雪潭紹璞は、小柄な体格からは想像もできないほどの大音声の持ち主で、その厳しい修行は多くの僧侶たちを畏怖させました。正眼寺の改革においては、輪住制を廃止し独住制に改めるなど、大胆な施策を実行しました。また、修行僧のための専門道場として正眼寺を整備したことは、後世に大きな影響を与えました。その生涯は、臨済宗の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

『美濃加茂市史　通史編』　美濃加茂市　1980年
『古座川町史 通史編』　古座川町史編纂委員会　2013年

もう一度検索