雪窓夫人

雪窓夫人（生年不詳 - 1544年9月2日）は、戦国時代に生きた女性で、島津貴久の継室として歴史に名を残しています。父は入来院重聡、母は白浜重香の娘であり、入来院重朝を兄弟に持ちます。彼女の出自である入来院氏は、長年島津氏と対立していた渋谷一族の一員でした。

島津忠良は、勢力拡大のため、長男である貴久と雪窓夫人の婚姻を強く望んだとされています。この婚姻は、両家の関係を安定させ、島津氏の勢力拡大に大きく貢献することになりました。雪窓夫人は、伊作城で三人の息子、島津義久（1533年）、島津義弘（1535年）、島津歳久（1537年）をそれぞれ出産しました。

1544年に雪窓夫人は亡くなり、戒名「雪窓妙安大姉」が贈られました。彼女の生存中、入来院氏が島津氏側に付いたことで、薩摩国の情勢は安定し、島津氏の勢力拡大が促進されたことは疑いようもありません。

雪窓夫人の三十回忌には、息子である義久、義弘、歳久が連名で、彼女の菩提を弔うために雪窓院を伊集院（現在の鹿児島県日置市伊集院町）に建立しました。特筆すべきは、義久が豊臣秀吉に降伏する際、島津家ゆかりの寺院ではなく、この雪窓院で出家したという事実です。この行動は、雪窓夫人への深い敬意と感謝の念を表していると言えるでしょう。

雪窓夫人は、戦国時代の激動の中で、島津氏の勢力拡大に貢献し、その子孫に深い影響を与えた重要な人物として記憶されています。

もう一度検索