電気通信大学藤沢分校

電気通信大学藤沢分校（でんきつうしんだいがくふじさわぶんこう）は、昭和初期から中期にかけて、現在の神奈川県藤沢市辻堂地区に設けられていた教育機関です。具体的には、1944年頃にその前身が設立され、電気通信大学の分校となった後、1956年頃に閉校となるまで、約12年間にわたり運営されました。

設立とその経緯

この分校のルーツは、第二次世界大戦中の1944年（昭和19年）8月25日にさかのぼります。当時の運輸通信省通信院が所管していた官立無線電信講習所が、神奈川県藤沢市大字辻堂字浜見山（現在の藤沢市辻堂東海岸四丁目）にあった海軍電測学校の敷地内に「藤沢分教場」を開設したのが始まりです。この分教場は俗に「鵠沼校舎」とも呼ばれていました。

終戦を挟んで組織再編が繰り返される中、施設の名称や所管は変化していきました。1945年（昭和20年）4月1日には「官立中央無線電信講習所藤沢支所」と改称され、翌月5月19日には内閣所属部局である逓信院の所管となりました。戦後、1946年（昭和21年）7月1日に逓信院が廃止されると、今度は逓信省の管理下に移行します。

そして、1949年（昭和24年）6月1日、学制改革の波の中で、この施設は新たに発足した電気通信大学の分校として位置づけられ、「電気通信大学藤沢分校」と正式に改称されました。

概要

電気通信大学藤沢分校は、主に本校（当時の電気通信大学本所）の第一部高等科に所属する学生を対象とした教育施設でした。1945年（昭和20年）6月時点の記録によれば、約200名の学生を収容できる規模を持っていたとされています。戦時中から戦後にかけて、通信技術の教育・研究が重要視される中で、一定の役割を担っていたと考えられます。

閉校とその後の利用

電気通信大学藤沢分校がいつ閉校となったかを示す明確な日付は残されていませんが、1949年の改称後、それほど長い期間は電気通信大学の分校としての活動は続かなかったとみられています。その後、この分校として使用されていた木造校舎は、地域の教育施設として再生されることになります。

1956年（昭和31年）、かつて分校として利用されていた旧木造校舎は改修工事が施され、新たな学び舎として活用されることとなりました。この場所に、藤沢市立湘洋中学校が開校したのです。これにより、この土地の教育施設としての歴史は、電気通信大学から湘洋中学校へと引き継がれました。現在、跡地付近には湘洋中学校が所在しており、その教育の歴史を今に伝えています。

所在地

電気通信大学藤沢分校が置かれていた場所は、神奈川県藤沢市大字辻堂字浜見山7238番地でした。現在の住所表記では、神奈川県藤沢市辻堂東海岸四丁目17-1にあたります。これは、現在の藤沢市立湘洋中学校の敷地の一部に相当する場所です。かつてこの地で、多くの学生が通信技術について学びを深めていた歴史を偲ばせます。

電気通信大学藤沢分校は、戦中から戦後にかけての激動の時代に、通信技術教育の一端を担った重要な施設であり、その歴史は現在の地域の教育機関へと連綿とつながっています。

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