電波実況

電波実況とは

電波実況とは、2003年に行われた格闘ゲームの全国大会「闘劇」における、梅原大吾選手の試合を実況した際の名フレーズです。「ウメハラがぁ！」という叫びから始まるハイテンションな実況は、多くの人々の記憶に刻まれました。

2007年に動画共有サイトにアップロードされた切り抜き動画は、瞬く間に人気となり、数百万回再生を記録。電波実況はMADムービーの素材として定番化し、数多くの二次創作動画が生まれました。格闘ゲームファンのみならず、ネットミームとしても広く知られています。

電波実況が生まれた背景

電波実況は、2003年に開催された格闘ゲーム大会「闘劇」の「GUILTY GEAR XX」部門で生まれました。当時トッププレイヤーだった梅原大吾選手の試合を、実況者の「がまの油」氏が担当しました。

闘劇とは

「闘劇」は、2003年から2012年まで開催された日本最大級の格闘ゲーム大会です。アーケードゲーム専門誌「月刊アルカディア」が企画し、エンターブレインが主催していました。メーカー主導の大会とは異なり、様々なゲームメーカーが協賛し、多種多様な対戦格闘ゲームが競技種目として採用されました。海外からも有力なプロゲーマーが参加し、日本におけるeスポーツの先駆けとして重要な役割を果たしました。

闘劇では、試合前のマイクパフォーマンスも魅力の一つでした。選手たちが意気込みを語ったり、対戦相手を挑発したりする様子は、観客を大いに盛り上げました。2003年の第一回大会は、幕張メッセで開催され、GUILTY GEAR XXには全国から1941チームがエントリーしました。

関係者

梅原大吾： 当時22歳。2D格闘ゲーム界のカリスマとして知られていました。他の有名プレイヤーと結成したチーム「俺とお前と大吾郎」は、優勝候補の筆頭に挙げられていました。
がまの油： 闘劇の実況を担当。ゲーム好きが高じてゲームセンターでアルバイトを始め、大会の実況を務めるようになりました。プレイヤーの魅力を伝え、イベントを盛り上げることに情熱を注いでいました。

電波実況が生まれた瞬間

電波実況が生まれたのは、本選トーナメント二回戦での出来事でした。梅原選手が所属するチームは、相手チームに2連敗し、後がない状況に追い込まれます。しかし、梅原選手は驚異的な粘りを見せ、相手チームの2人を立て続けに撃破。大将戦の最終ラウンドでは、相手の動きを完全に読み切り、圧勝しました。この劇的な勝利を実況したのが、伝説の「電波実況」です。

電波実況の拡散

2007年3月6日、ニコニコ動画に電波実況の切り抜き動画が投稿されました。その熱のこもった実況は、多くの視聴者の心を掴み、爆発的な再生回数を記録しました。ニコニコ動画黎明期の人気動画の一つとして、その名を刻んでいます。

MAD素材としての活用

電波実況の動画は、MADムービーの素材としても広く利用されるようになりました。音声や映像を編集し、様々な楽曲や映像と組み合わせた二次創作動画が数多く制作されました。

関係者のコメント

梅原大吾選手は、電波実況の盛り上がりについて、「悪い気はしなかった」とコメントしています。がまの油氏は、電波実況が有名になったことをポジティブに捉え、「あの実況がきっかけでウメハラさんを知った人や、格闘ゲームに興味を持ってくれた人もいた」と語っています。

電波実況の評価と影響

電波実況は、名実況として高く評価されています。試合の展開を的確に捉え、感情を爆発させた実況は、多くの人々に感動を与えました。また、格闘ゲーム人気の復活にも貢献したとされています。アテネオリンピックの「栄光への架け橋だ」という名実況に匹敵するとも評されています。

国内外への影響

電波実況は、様々な形で国内に影響を与えています。漫画のプロモーションビデオで電波実況風のナレーションが使用されたり、格闘ゲームの試合で電波実況が再現されたりするなど、その影響力は今も健在です。

海外でも、格闘ゲーム大会の実況で電波実況のフレーズが用いられるなど、その影響は広がっています。

その後

梅原大吾選手は、プロゲーマーとして活躍し、格闘ゲーム界の発展に貢献しています。がまの油氏は、Eスポーツ関連のディレクターとして活動しています。

電波実況は、格闘ゲーム史に残る名実況として、そしてeスポーツの歴史における重要な瞬間として、語り継がれていくでしょう。

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