青山恭二

青山恭二（あおやま きょうじ）

本名：八下田 治滿（やげた はるみつ）

日本の元俳優。
出身地：栃木県
生没年：1937年（昭和12年）7月20日 - 2019年（平成31年）2月8日

来歴と人物像

青山恭二は、1937年に栃木県で生を受けた。中央大学文学部に在学中の1955年、東宝ニューフェイスに合格し、映画界への扉を開いた。大学を中途退学し、同年公開の東宝映画『朝霧』（監督：丸山誠治）で俳優デビューを飾る。その後、映画製作を再開した日活へと活躍の場を移し、翌1956年には西河克己監督の『東京の人 前後篇』などに出演した。

しかし、同時期に石原裕次郎がデビューを果たし、『太陽の季節』の映画化を機に日活が急速にアクション映画路線を強化する経営方針を打ち出したことで、青山が活躍できる役柄の機会は次第に減少していく。青春スターとしての道を期待されながら、会社の路線転換の波に乗り切れず、映画出演の幅が狭まるという厳しい状況に直面した。こうした状況は彼に大きな精神的苦痛を与え、一時は車中で自殺未遂という極限的な状態に追い込まれたこともあった。

苦境の中にあっても、俳優活動は続けた。小林旭主演のヒットシリーズ『渡り鳥』や『銀座旋風児』では脇役として存在感を示したほか、小杉勇監督作『刑事物語』シリーズでは益田喜頓と親子役で共演し、幅広い演技を見せた。また、テレビドラマにも活躍の場を広げ、1961年から1963年にかけて放送された『機動捜査班』シリーズや『愛妻くん』などでは主演を務める機会も得た。テレビの草創期において、俳優としてのキャリアを積んだのである。

しかし、日活における助演やテレビドラマの主演という枠から更なる飛躍を遂げ、スターダムを駆け上がることは難しかった。青山は俳優としての限界を感じたのか、最終的に芸能界からの引退を決断する。その時期については詳細な記録は少ないが、1960年代後半から1970年代初頭にかけてであったと推測される。

俳優引退後は、全く異なる分野で新たな人生を歩み始めた。静岡県下田市に拠点を置く観光会社で専務を務め、実業家としての手腕を発揮した。この第二の人生においても、彼は社会貢献を続けた。長年にわたり海上安全指導員としても活動し、海の安全を守るための啓発活動や指導に尽力。その多大な貢献が認められ、2009年には海上保安庁長官表彰を受賞するなど、俳優以外の分野でも社会に貢献し、功績を残した。晩年は実業家・社会活動家として穏やかな日々を送ったとされる。2019年、81歳でその生涯を閉じた。

青山恭二は、日本の映画・テレビ界において、青春スター候補からバイプレイヤー、そしてテレビ主演へと、時代の波に翻弄されながらも多様な役柄を演じた俳優であった。そのキャリアは順風満帆ではなかったが、引退後に全く新しい分野で成功を収め、社会に貢献したという点においても特異な存在と言える。彼の俳優としての足跡は、特に1950年代後半から1960年代にかけての日活映画やテレビドラマの中に刻まれている。

主な出演作品（一部抜粋）

映画
『東京の人 前後篇』（1956年、日活）
『乳母車』（1956年、日活）
『嵐を呼ぶ男』（1957年、日活） - 国分英次 役
『銀座旋風児』シリーズ（日活）
『ギターを持った渡り鳥』（1959年、日活） - 安川 役
『拳銃無頼帖 不敵に笑う男』（1960年、日活） - 三島五郎 役

テレビドラマ
『機動捜査班』シリーズ（1961-1963年） - 主演
『愛妻くん』シリーズ（1966-1967年、KRT） - 主演
『日本剣客伝』 第4回「塚原卜伝」（1968年、NET）

参考文献

『日本映画俳優全集・男優編』、キネマ旬報増刊、キネマ旬報社、1979年

関連項目

日活
東宝
* 日本の男優一覧

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