青戸 (葛飾区)

東京都葛飾区の地名、青戸（あおと）

青戸は、東京都葛飾区の中央部に位置する地名で、一丁目から八丁目までが現行行政地名です。住居表示が実施済みであり、主に住宅地として発展してきました。

地理

青戸は葛飾区の中央に位置し、中川の西岸に広がっています。北は亀有、南は立石、東は中川を挟んで高砂、西は白鳥と隣接しています。特に、公団青戸団地を中心とした宅地化が戦後急速に進み、住宅地としての性格を強めてきました。また、環七通りと国道6号が交わる地点であり、交通の要衝としての役割も担っています。

京成電鉄の駅名は「青砥」と表記されますが、地名としては「青戸」が正式です。しかし、「アオト」という呼称は、旧青戸町であった白鳥の一部や、立石のうち青砥駅に近い地域でも使われることがあります。

地域の南端には京成青砥駅があり、駅にはショッピングモール「ユアエルム青戸」が併設されています。ただし、駅周辺の商店街は規模が大きくなく、駅前広場もありません。地域全体としては、住居地域ごとに商店が点在する傾向があります。

また、激辛せんべいの老舗「神田淡平」の本社工場があり、『激辛』発祥の地としても知られています。

歴史

青戸は、古くは「青津」「大戸」「大津」などと表記され、「おおと」と呼ばれていました。「戸」は、渡し場や船着場を意味し、この地が古くから水運の要所であったことを示唆しています。正応元年（1288年）には、青戸二郎重茂が葛西氏の代官として奥州平泉の中尊寺を訪れた記録が残っています。

青戸七丁目の環七通り沿いには葛西城址があり、鎌倉幕府の引付衆であった青砥藤綱の邸宅があったとされています。ただし、真偽は定かではありません。京成青砥駅の表記が町名と異なるのは、この伝承に由来するとも言われています。

中世の青戸は葛西地域の中心地であったと考えられており、葛西城からは大量の土器類が出土しています。戦国時代には、葛西城は山内上杉氏や後北条氏などの支城として使用されました。

江戸時代には、葛西城は徳川家康・秀忠・家光の鷹狩り用の御殿（青戸御殿）として利用されましたが、明暦の大火で焼失した江戸城の再建資材として破却されました。

近世の青戸村は、明治22年（1889年）に亀有村、砂原村、上千葉村と合併し、亀青村となりました。大正元年（1912年）には京成電気軌道が青戸付近に鉄道を敷設しましたが、当時は駅はありませんでした。昭和3年（1928年）に青砥駅が開設され、昭和7年（1932年）には葛飾区成立に伴い青戸町が誕生しました。

昭和12年（1937年）には東洋インキ製造が青戸町に工場を設置しましたが、平成16年（2004年）に埼玉県川越市に移転しました。戦後、青戸団地の建設などを経て、人口が増加し、住環境が整備されました。昭和42年（1967年）には住居表示が実施され、現在の青戸一丁目から八丁目となりました。

昭和48年（1973年）には京成本線・京成押上線の高架化工事が始まり、昭和61年（1986年）に竣工しました。環七通りの青戸付近が開通したのは、昭和60年（1985年）のことです。

経済

青戸には、激辛せんべいの老舗である神田淡平の本社工場や、広告代理店の広正社があります。かつては玩具メーカーのタカラ（現タカラトミー）も本社を置いていました。

交通

京成青砥駅は、京成本線と京成押上線の分岐駅であり、千葉県方面から上野方面、浅草や羽田空港方面へのアクセスが可能です。また、国道6号（水戸街道）と東京都道318号環状七号線（環七通り）が交差しており、交通の要衝となっています。

施設

青戸には、葛飾区立亀青小学校をはじめとする小中学校、東京慈恵会医科大学葛飾医療センター、テクノプラザかつしか、青戸平和公園、かつしかシンフォニーヒルズなどの施設があります。また、宝泉寺、勝養寺、法問寺、観音寺、宝持院、延命寺、青砥神社、葛西城跡などの史跡や寺社も点在しています。

出身・ゆかりのある人物

青戸出身の人物としては、弁護士で衆議院議員の櫛部荒熊や、広正社創業者の武藤欣之助がいます。

まとめ

青戸は、古くからの歴史を持ち、戦後の宅地化を経て発展した住宅地です。交通の便も良く、生活に必要な施設も整っています。史跡や寺社も多く、歴史と文化を感じられる街です。

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