青木城 (武蔵国)

青木城の歴史と遺構

青木城（あおきじょう）は、神奈川県横浜市神奈川区高島台に存在した16世紀の日本の城で、主に後北条氏の家臣である多米氏の居城として知られています。現代の本覚寺付近に位置していたとされています。

歴史的背景

青木城が築かれた時期については正確な記録がないものの、背景や出来事から城の重要性を理解することができます。この城は、1510年に発生した『権現山の戦い』に深く関わっています。扇谷上杉氏の家臣であった上田政盛が伊勢盛時（後の北条早雲）と通じて謀反を起こし、権現山城で挙兵しました。この騒動により、上杉朝良と上杉憲房の二大勢力が連合して権現山城を攻め、戦火が交わされました。

この戦いの結果、両上杉氏は権現山城を攻略し、伊勢盛時の援軍を撃退しました。しかし、その際に伊勢軍は本覚寺の地蔵堂を一時的に拠点とし、青木城もそれに関連した位置にすでに存在していたことが示されています。これを踏まえると、青木城はこの戦いの後、長らく多米氏の手に渡ることとなりました。

城の発展

青木城は、大永年間（1521年-1528年）の頃に多米元興が城主となり、その地位を確固たるものにしました。日本城郭大系によると、権現山城が最初に築かれた後、徐々に青木城が発展していったと考えられています。1559年には『小田原衆所領役帳』において、青木城は「多米新左衛門」の名のもとに統治されていたとされ、この時期も多米氏の支配下にありました。

1569年の武田信玄による小田原攻撃では、多米周防守は青木城を放棄し、吉良頼康の守る蒔田城に転戦します。このことからも、青木城は戦国時代の激動の中で、戦略的に重要な役割を果たしていたことが窺えます。

廃城と現在の状況

青木城の廃城年代は不明ですが、多米氏が1590年の小田原征伐の際に敗北したことが関連しています。文化の変遷を経た江戸時代後期には、多くの城塁の跡が消失し、『新編武蔵風土記稿』によると「さして今は城塁の跡の残りたるも見えず」と記されています。これはすでに城の存在が失われていることを示唆しています。

現代では、青木城のあった高島台には住宅地が広がり、本覚寺以外の遺構はほとんど見られなくなっています。また、権現山城の跡地も幕末に土取場として削られ、明治以降の鉄道建設により大きく地形が変化しました。これにより、青木城の歴史的な痕跡は消失し、訪れる人々にその存在を想起させるものはほとんどありません。

総括

青木城は、戦国時代の日本において戦略的役割を果たした重要な城の一つでしたが、現在その姿は見ることができません。文化や歴史を知るための資料として、青木城の歴史を振り返ることは今なお意義深いと言えるでしょう。

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