青根ヶ峰

青根ヶ峰（あおねがみね）

概要

奈良県吉野郡吉野町、吉野山の最も南に位置する標高858メートルの山である。大峰山脈の北部に属し、山頂には三等三角点が設置されている。山頂付近は吉野町と川上村の境界をなし、黒滝村境も近い。かつて金峰山と呼ばれた山々の一部であり、吉野熊野国立公園に指定されている。また、ユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である大峯奥駈道が山頂近くを通過する。奥駈道沿いの分岐点には、歴史的な「従是女人結界」の碑が今も残されている。古くは水分山（みくまりやま）とも称された神奈備山として信仰を集め、万葉集にもその姿が詠まれている。この山から流れ出る水は、東へ向かうと音無川となり蜻蛉の滝を経て吉野川に注ぎ、北へ流れる水は喜佐谷川や万葉集に歌われた象の小川となり吉野川に合流する。西へ流れる水は秋野川となり下市町を経て吉野川へ、南へ流れる水は脇川となって黒滝川や丹生川と合流し、五條市で吉野川に注ぎ込んでいる。

周辺

山頂近くには、大峯奥駈道の巡拝所である「靡（なびき）」の一つ、愛染の宿がある。ここは現在、宝塔院跡とも呼ばれている。明治時代の廃仏毀釈以前は、この一帯に安禅寺という寺院が存在し、多宝塔や四方正面堂、安禅寺蔵王堂といった堂宇が点在していたとされる。安禅寺蔵王堂の本尊であった身の丈約4メートルにも及ぶ蔵王権現立像（国の重要文化財）は、現在、金峯山寺蔵王堂の内陣に客仏として安置されている。また、青根ヶ峰周辺は吉野山の最深部である奥千本にあたり、金峯神社や、隠棲した歌人・西行が暮らしたと伝わる西行庵などが点在している。俳人・松尾芭蕉もこの地を訪れており、苔清水（とくとくの清水）と呼ばれる清水に句を残している。

アクセス

青根ヶ峰へのアクセスは、吉野大峯ケーブル自動車のバスを利用し、終点の奥千本口まで行くことができる。奥千本口からは徒歩でのアプローチとなり、金峯神社を経由する直線コースであれば、山頂まで約40分ほどで到着する。また、西河バス停から向かうルートもあり、こちらは約4.2キロメートルの道のりを約1時間50分かけて歩くことになる。このルートの途中には、松尾芭蕉も立ち寄ったとされる蜻蛉ノ滝がある。

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