大峰山脈

大峰山脈

大峰山脈は、奈良県南部から和歌山県北部にかけて広がる、紀伊山地の脊梁をなす山脈です。最高峰は八経ヶ岳で、標高は1,915mに達します。この山脈は、広義には大峰山と呼ばれることもあり、深田久弥の『日本百名山』では、山脈全体を「大峰山」として紹介しています。東西は熊野川上流の十津川と支流の北山川に挟まれ、北は中央構造線に沿う紀ノ川上流の吉野川に接しています。大峰山脈の北端は吉野山となります。

地理的特徴

大峰山脈は、近畿地方の高峰が集中する地域であり、「近畿の屋根」または「大和アルプス」とも呼ばれています。南北に約50kmも連なり、その壮年期の急峻な山容が特徴的です。山岳修験の場として古くから信仰を集めており、山名には「普賢」や「大日」など、仏教に由来するものが多く見られます。

尾根筋の吉野から熊野へと続く約100kmの縦走路は、大峯奥駈道と呼ばれ、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界遺産に登録されました。

地質

地質的には、西南日本外帯に属しています。山上ヶ岳付近の大峰山脈北部は秩父帯に属し、主にジュラ紀の付加体の水成岩である砂岩や泥岩で構成されています。一方、八経ヶ岳周辺から玉置山までの中南部は四万十帯に属し、日高川帯に細分類され、主に白亜紀の水成岩から形成されています。釈迦ヶ岳付近や山上ヶ岳西側には、大峰酸性岩類に属する石英斑岩が貫入しています。

気候

夏季は雨量が多く、特に南部は日本有数の多雨地帯です。近畿北部の丹波高地よりも標高が高いため、冬季にはシベリア気団の影響で季節風が吹きつけ、北部では積雪が多くなります。また、標高が高いため、台高[[山脈]]と共に近畿地方で最も冷涼な地域であり、年平均気温は4℃から6℃程度と推定されています。

生態系

山域の東側は、1936年に吉野熊野国立公園に指定されています。標高1,600mから1,700m以上の限られた地域には、シラビソやトウヒを中心とした亜高山帯針葉樹林が、その下部750mから1,700mにはブナなどの落葉広葉樹林が分布しています。弥山から仏生ヶ嶽の稜線沿いには、シラビソ・トウヒとブナの混合林も見られます。

主な山

大峰山脈には、以下のような多くの山々があります。

百貝岳
青根ヶ峰
四寸岩山
大天井ヶ岳
観音峯
勝負塚山
山上ヶ岳
稲村ヶ岳
大普賢岳
和佐又山
鉄山
行者還岳
弥山
八経ヶ岳
頂仙岳
明星ヶ岳
七面山
仏生ヶ嶽
孔雀岳
釈迦ヶ岳
大日岳
天狗山
地蔵岳
中八人山
涅槃岳
行仙岳
笠捨山
地蔵岳
玉置山

参考文献

深田久弥『日本百名山』

関連項目

金峰山
関西百名山
剣[[山地]]
石鎚山脈

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