静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

静岡新聞・静岡放送東京支社ビルは、東京都中央区銀座八丁目に位置する独特な建築物です。このビルには、静岡新聞と静岡放送（いずれも静新SBSグループ）の東京支社機能が置かれているだけでなく、山梨日日新聞・山梨放送（山日YBSグループ）の東京支社も4・5階に入居しています。

設計は、日本の近代建築を代表する建築家の一人である丹下健三によるもので、メタボリズムという建築思想が色濃く反映されています。

建築の特徴

外堀通りと東京高速道路に挟まれた敷地に、濃い茶色の円筒形のコアから箱状のオフィスが突出したユニークな形状をしています。この特徴的な外観は、新幹線からもよく見えるため、目に留まりやすい建物と言えるでしょう。

丹下健三は、弟子の磯崎新のプロジェクトから触発され、将来的に複数のコアを建設し、それらを空中に橋渡しされた床で連結するという構想を持っていました。このアイデアは、彼が以前に電通の吉田秀雄から依頼を受け、築地地区において複数のコアを空中床で連結する立体的な再開発計画「築地計画」を立ち上げたことに端を発します。しかし、吉田の急逝により、電通本社ビル（後の電通テック本社ビル）1棟の建設にとどまりました。静岡新聞・静岡放送東京支社ビルは、この幻となった築地計画の一部が具現化したものと見ることができます。

メタボリズム建築

メタボリズムとは、1960年代に日本の建築家を中心に提唱された建築思想で、有機的な成長や変化を建築に取り入れようとするものです。静岡新聞・静岡放送東京支社ビルは、この思想に基づき、将来的な拡張や変化に対応できるような構造となっています。

周辺の建築

銀座8丁目には、かつて黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルというメタボリズム建築も存在していました。しかし、この建物は2022年4月に解体されています。また、山梨日日新聞・山梨放送本社がある山梨文化会館も丹下健三が設計した建築物です。

参考文献

* 静岡新聞・静岡放送ビル〔設計・丹下健三+都市・建築設計研究所〕”. 新建築 (新建築社) 43 (2): 185-191. (1968-02).

静岡新聞・静岡放送東京支社ビルは、その独特なデザインと、丹下健三の建築思想が反映された建築物として、建築史においても重要な位置を占めています。

もう一度検索