静脈物流

静脈物流とは

静脈物流とは、最終消費者が使用した後の製品、返品された商品、製造や販売の過程で発生する産業廃棄物など、不要となった物品を輸送する物流のことを指します。これは、製品が生産されてから消費者の手に渡るまでの流れを「動脈物流」と捉えるのに対し、消費後に不要となった物品の流れを、人体における静脈の役割になぞらえて「静脈物流」と呼んだものです。

動脈は、酸素を豊富に含んだ動脈血を身体の各部位に運び、生命活動を支えます。一方、静脈は、二酸化炭素などの老廃物を含んだ静脈血を回収し、体外へと排出する役割を担います。この動脈と静脈の対比構造を、物流の世界に当てはめたのが、動脈物流と静脈物流という概念です。

リサイクルポートの整備

国土交通省は、静脈物流の効率化と環境負荷の低減を目指し、港湾や海上輸送を活用した「総合静脈物流拠点港（リサイクルポート）」の整備を推進しています。これにより、廃棄物の広域的な輸送とリサイクルを促進し、循環型社会の構築に貢献することが期待されています。2006年12月までに、全国で21の港湾がリサイクルポートに指定されました。

リサイクルポート指定港湾一覧

一次指定（2002年5月30日指定）

室蘭港
苫小牧港
東京港
神戸港
北九州港

二次指定（2003年4月21日指定）

石狩湾新港
八戸港
釜石港
酒田港
木更津港
川崎港
姫川港
三河港
姫路港
徳山下松港
宇部港
三池港
中城湾港

三次指定（2006年12月19日指定）

能代港
舞鶴港
三島川之江港

静脈物流の事例

静脈物流は、多種多様な廃棄物の輸送に対応しています。以下に、その具体的な事例をいくつか紹介します。

廃蛍光灯輸送列車：全国各地から鉄道輸送で集められた廃蛍光灯を、石北本線北見駅まで輸送する事例です。
* 川崎市生活廃棄物輸送列車「クリーンかわさき号」：川崎市内で発生した生活廃棄物を、梶ヶ谷貨物ターミナル駅から末広町駅まで輸送する事例です。

これらの事例は、静脈物流が地域や産業の特性に応じて、様々な形態で展開されていることを示しています。

まとめ

静脈物流は、循環型社会の実現に不可欠な物流システムです。リサイクルポートの整備や、多様な輸送手段の活用によって、今後ますますその重要性が高まっていくと考えられます。廃棄物の適正処理と資源の有効活用を促進するため、静脈物流の更なる発展が期待されます。

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