韓 (戦国)

韓（かん）

韓は、中国の戦国時代に存在した国であり、その期間は紀元前403年から紀元前230年にわたります。韓の領域は現在の河南省北部、山西省南部、及び陝西省東部にかかっていました。彼らは戦国七雄の一角を成していました。

1. 歴史的背景

春秋時代において、韓の祖先は晋の公族にあたります。特に、韓室の始祖である韓万（韓武子）は、晋の穆侯の庶子として知られています。彼は韓原という地に封じられ、その子孫はこの地名に倣い韓氏を名乗りました。以前にも同名の国が存在しましたが、それは周王朝系の韓であり、春秋時代の韓とは異なる存在です。

2. 独立への道

紀元前620年、韓万の玄孫である韓厥は、司馬に任命され、その軍略によって名声を高めました。彼は趙氏の復興にも尽力し、紀元前573年には正卿、中軍の将として政治の中心的立場を確立しました。さらに、彼の子である韓起が紀元前541年に正卿となったことにより、韓氏は政治的権力を持つ大臣の六家の一つとなります。

春秋末期には、韓虎が趙氏や魏氏と共に智氏を滅ぼし、紀元前453年には旧晋の領地を分割することで独立を果たしました。その後、紀元前403年には周の王室から正式に諸侯として認められ、戦国時代が本格的に始まりました。

3. 戦国時代の韓

韓は、紀元前375年に鄭を滅ぼしましたが、戦国の他の国々に比べて戦力は薄弱で、西方の秦からの侵攻に常に脅かされていました。それでも、釐侯の治世下で宰相として申不害を登用し、国は一時的に安定を取り戻しました。宣恵王の時代には、初めて王を名乗り国家の体制を強化しました。

一方で、国の運営に関する理念を著した公子韓非は、母国での受け入れには失敗し、その思想は後に秦によって実行され、逆に韓を滅ぼす助けとなりました。特に、韓は鄭国の灌漑事業を秦に依頼した結果、秦国の農業を発展させることになり、韓自身の国力を削る結果となりました。

4. 韓の滅亡

紀元前230年、韓は首都の新鄭を失い、戦国時代の国々の中で最も早く滅亡しました。この結果、秦は韓の領土を潁川郡と改称し統治しました。紀元前226年、新鄭で反秦の乱が起きましたが、これは鎮圧され、最後の王である韓王安は処刑されました。

韓の宰相の家系であった張良は、韓の滅亡を恨み、始皇帝の暗殺を試みましたが失敗しました。後に楚漢戦争の際には、韓の旧王族から韓王成と韓王信を擁立することになります。

5. 歴代の君主

韓には多くの君主が存在しましたが、特に著名な君主には、武子（韓万）、献子（韓厥）、宣恵王（威侯、韓康）、桓恵王（韓然）などが挙げられます。彼らの治世は、韓の歴史において多くの重要な出来事を残しました。

韓の歴史は、政治の変遷や外敵との闘争を通じて、古代中国の複雑な歴史を物語っています。

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