韓国鉄道9211系気動車

韓国鉄道9211系気動車の概要

韓国鉄道9211系気動車は、韓国鉄道庁および韓国鉄道公社（KORAIL）が所有していた気動車です。1984年から1990年にかけて製造され、当初は281系という形式名で知られていました。この車両は、都市間短距離の優等列車である「ムグンファ号」としての役割を果たしてきました。

設計と技術

9211系の設計には、最新のコンピュータによる構造解析技術が取り入れられています。前面のデザインは流線形であり、前照灯の上部から「く」の字に曲線を描きつつ滑らかに曲がっています。これにより、洗練された外観を実現し、京成初代AE形と類似した印象を与えています。

車内にも工夫が施されており、乗客の疲労を軽減するために2＋3列の配置で回転式の簡易リクライニングシートが設置されました。この配置により、従来の客車列車（3＋3列配置）と比較して快適性が向上しています。さらに、床下にはカミンズ製のディーゼルエンジンが搭載され、フォイト製のトルクコンバータを使用した変速機が配置されています。

1999年には、特別車両として3両（9421＋9321＋9221）が改造され、政府要員や国賓の輸送に使用されました。

形式について

9211系にはいくつかの主要形式があり、1992年10月1日には韓国鉄道庁による車両番号の変更が行われました。以下はその形式に関する詳細です。

• - 9211形（旧281形）: 釜山側に連結された動力車（Mc）。カミンズ製のディーゼルエンジンが床下に2基搭載されています。日本の「キハ」に相当。
• - 9411形（旧481形）: 大邱側に連結された制御車（Tc）で、床下には給電用のエンジンが搭載されています。「キクハ」に相当。
• - 9311形（旧381形）: 中間に連結される運転台のない動力車（M）で、1985年から製造が行われました。こちらも「キハ」に該当。
• - 9421形（旧491形）: 1990年に製造された動力車（Mc1）で、ディーゼルエンジンは1基のみが搭載されています。「キハ」に含まれます。

運用状況

9211系は、導入当初は2両編成で運用され、1985年以降は中間車の製造が進むに連れて3・4両編成での運用も行われました。特に釜山や大邱を起点とする運用において、都市間の頻繁な運転を実現する役割を果たしました。しかし、その後の需要増加に伴い、釜山・大邱地域では客車列車に置き換えられることとなり、9211系は嶺南地方やソウル近郊の京春線が非電化であった時代に活躍しました。

なお、2000年までに車内の座席配置はさらに居住性を向上させるため、2＋2列配置に変更されました。耐用年数を超えた9211系は2006年以降、廃車が進み、最後の4両編成は2010年2月16日に営業運転を終了しました。その後も特別車両は残存し、2009年からは韓国鉄道公社の社長専用列車として利用されましたが、2015年に廃車されました。

2023年現在、現存する特別車両の3両編成は鉄道博物館に保存されています。

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