音楽喜劇 ほろよひ人生

『音楽喜劇 ほろよひ人生』

『音楽喜劇 ほろよひ人生』は、1933年に製作・公開された日本の長篇劇映画であり、監督は木村荘十二が担当しました。この作品は、第二次世界大戦前の日本における初期のミュージカル・コメディとしての位置を確立しています。

概要と背景

本作は、写真化学研究所の第一作として知られています。興味深いことに、同社の経営者である植村澄三郎が、当時のビール会社・大日本麦酒の取締役でもあったため、タイアップによる広告映画としても制作されました。写真化学研究所は、1937年にP.C.L.映画製作所と合併し、後に東宝映画となり、1943年には現在の東宝と名を変えます。このように、本作は東宝スタジオが存在する場所で撮影された最初の映画とされています。

キャストと制作の特長

本作の特徴の一つは、有名な映画俳優ではなく、新人や軽演劇の役者が多く起用されている点です。企画の魅力を前面に押し出すアプローチは、映画スターの力に依存せず、技術面でも最新のものが取り入れられ、都会的な要素を持つ作品に仕上がっています。これらの取り組みは、後の東宝映画に引き継がれる気質を示唆しています。

上映にあたっては、東京国立近代美術館フィルムセンターが完全な35ミリプリントを所有しており、上映機会があれば一般にも視聴が可能です。

スタッフと作品データ

本作の製作にあたったスタッフは多岐にわたりますが、演出は木村荘十二が、構成は森岩雄が担当しました。また、台本は松崎啓次が主に書き、瀧口修造が協力しました。技術面では、撮影を担当した鈴木博や、照明担当の岸田九一郎の貢献が印象的です。音楽は兼常清佐、紙恭輔、奥田良三らが手掛け、伴奏にはコロナオーケストラが参加しています。このように、音楽も重要な要素となっています。

作品は77分（9巻 / 2,109メートル）で、フォーマットは白黒映画、スタンダードサイズ（1.37:1）で、モノラル録音が採用されています。公開日は1933年8月10日で、配給は東和商事映画部が担当しました。初回興行は大阪の松竹座で行われました。

主なキャスト

本作にはさまざまな役者が出演しており、特に徳川夢声が音楽院の学長役として登場します。他にも、横尾泥海男（親泥棒役）、大川平八郎（アサオ役）、吉谷久雄（子泥棒役）などが重要な役割を果たしています。さらには、藤原釜足（トク吉役）、関時男（アサオの父役）なども参加し、多彩なキャストが魅力を引き立てています。

まとめ

『音楽喜劇 ほろよひ人生』は、初期の日本のミュージカル・コメディとして重要な地位を担い、その後の東宝映画のスタイルにも大きな影響を及ぼしました。今日でも多くの映画ファンに親しまれる作品です。

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