頼岳寺

頼岳寺：諏訪家ゆかりの歴史ある寺院

長野県茅野市に位置する頼岳寺は、曹洞宗に属する由緒ある寺院です。少林山を山号とし、徳川家康の家臣団に深く関わってきた諏訪家の歴史と深く結びついています。

創建と歴史

頼岳寺は、寛永8年（1631年）、諏訪頼水の菩提寺として創建されました。諏訪頼水は徳川家康の家臣であり、関東への移封後、上野国に滞在していた時期を経て、旧領である諏訪郡の安堵を受けた後に、頼岳寺を開基しました。

寺院の名称は、頼水の法名「頼岳院殿」に由来しています。創建にあたり、戦国時代に焼失した永明寺から什器が移されました。双林寺の十三世、大通関徹和尚が招聘され、開山の指導にあたりました。

寺院境内と周辺

境内には、頼水とその両親（諏訪頼忠、理昌院殿）を祀る廟所があります。朱塗りの入母屋造りの建物は、静寂な裏山に佇んでいます。廟所の周囲には、大祝家や二の丸家老など、諏訪高島藩重臣の墓塔が数多く立ち並び、当時の勢力と格式をしのばせます。これらの墓塔は、伽藍塔や宝篋印塔など、多様な形式を呈しています。

頼岳寺は、往時、寺領1000石、年々の斎米6俵、永代法会料250俵、薪300駄を受け取っていたと伝えられています。また、参禅の僧侶が常に30人を下ることはなかった盛況ぶりだったそうです。このことから、頼岳寺が当時、地域社会において重要な文化的・宗教的中心地であったことがわかります。

本尊と建造物

頼岳寺の境内には、重要な文化財がいくつか残されています。本尊である釈迦如来坐像は、高さ71cmの貴重な仏像で、運慶と湛慶の合作と伝えられています。その精巧な造形は、多くの参拝者を魅了しています。

現在の本堂は、安政6年（1859年）と明治34年（1901年）の火災を経験した後、大正時代に再建されました。しかし、内陣正面の欄間には、立川和四郎冨昌による見事な唐破風の彫刻が残されており、往時の華麗さを偲ばせます。

国の史跡指定

頼岳寺は、歴史的価値が高く評価されており、高島藩主諏訪家墓所（頼岳寺と諏訪市温泉寺墓所の一括指定）が国の史跡に指定されています。これは、頼岳寺が、諏訪地域の重要な歴史を伝える貴重な場所であることを示しています。

交通アクセス

頼岳寺へのアクセスは比較的容易です。

車の場合：中央自動車道諏訪ICから国道20号経由で約7分
バス利用の場合：JR中央本線茅野駅から、諏訪バス岡谷線で約10分、「頼岳寺下」バス停下車（徒歩5分）

歴史と自然に囲まれた頼岳寺は、静寂の中で歴史に思いを馳せることができる、貴重な場所となっています。

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