額田国造

額田国造について

額田国造（ぬかたのくにみやつこ、または、ぬかたこくぞう）は、古代に美濃国西部（現在の岐阜県南西部）または近江国東部（現在の滋賀県東部）を支配したとされる国造です。国造とは、大和朝廷によって地方に派遣された有力豪族で、その地域の政治や祭祀を担いました。

概要

額田国造は、『先代旧事本紀』の「国造本紀」にその名が記されています。この文献によると、額田国造は和邇（わに）氏の祖である彦国葺命（ひこくにぶきのみこと）の孫、大真侶古命（おおまろこのみこと）が成務天皇の時代に任命されたとされています。

氏族

額田国造は額田氏（ぬかたうじ）を名乗り、姓は直（あたい）でした。後に宿禰（すくね）の姓を与えられた者もいました。額田氏は、和珥氏、粟田氏、真野氏、武社国造、吉備穴国造などと同族とされています。

本拠地と支配領域

額田国造の本拠地は、美濃国池田郡額田郷（現在の岐阜県池田町周辺）または近江国坂田郡（現在の滋賀県米原市周辺）とされています。彼らの支配領域は、当時「額田国」と呼ばれた地域で、後の池田郡、大野郡、安八郡の一部に相当します。

信仰

額田国造の氏神は、花長上神社と花長下神社です。これらの神社は、現在もその地域に存在しており、額田国造の歴史を物語る重要な手がかりとなっています。

古墳

額田国造の勢力を示すものとして、以下の古墳群が挙げられます。

上磯古墳群（かみいそこふんぐん）: 4世紀後半から5世紀前半に築造された古墳群で、前方後方墳2基と前方後円墳1基から構成されています。これらの古墳は、当時の額田国造の勢力が比較的早期から存在していたことを示唆しています。
野古墳群（のこふんぐん）: 5世紀中期から6世紀初頭に築造された古墳群で、前方後円墳8基と多数の円墳からなっています。この古墳群は、額田国造の支配が長期にわたって続いていたことを示唆しています。

子孫

額田国造の子孫として、額田今足（ぬかたのいまたり）が知られています。彼は平安時代の法律家であり、明法博士として活躍しました。律令の注釈を公定することを請願し、『令義解』編纂の先駆けとなった人物です。

まとめ

額田国造は、古代の美濃国西部（または近江国東部）を支配した有力な豪族であり、その支配は数世紀にわたって続きました。古墳や神社などの遺跡は、当時の歴史を今に伝える貴重な証拠です。また、彼らの子孫は、後の時代にも活躍し、歴史に名を残しました。

参考文献

『國史大辭典』(吉川弘文館)
坂本太郎・平野邦雄『日本古代氏族人名辞典』(吉川弘文館)
『日本古代人名辭典』(吉川弘文館)
『日本史広辞典』(山川出版社)
『神道大辞典』(臨川書店)
『日本史総覧』(新人物往来社)

関連項目

* 国造の一覧

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