額田部比羅夫

額田部比羅夫について

額田部比羅夫（ぬかたべのひらぶ）は6世紀から7世紀にかけて活躍した古代日本の豪族で、飛鳥時代の官人です。彼の一族である額田部連は、大和国の現在の大和郡山市にある平群郡額田郷を拠点としていました。彼は主に外交面での活動が際立っており、日本の国際的な地位を高めるために貢献しました。

名前の由来

「額田部」という名は、応神天皇の皇子である額田大中彦皇子に由来するとも、推古天皇の皇女、額田部皇女を支えるために設けられた「部」が名前の元になっているとも言われています。このように、彼の背後にある歴史や皇族との結びつきは、彼の立場を特別なものとしています。

日本書紀と外交活動

『日本書紀』の巻二十二に記載されているように、推古天皇16年（608年）において比羅夫は重要な外交任務を果たしています。この年、彼は中国の隋の使者、裴世清を迎えるために国家を代表して出迎えました。この時の出来事は、『隋書』の倭国条にも記載があり、文中に登場する「大礼哥多毗」が「ぬかたべ」の「かたべ」と解釈されています。これにより、比羅夫が古代日本において対外的な関係構築の中心的な役割を担っていたことが分かります。

さらなる外交任務

比羅夫は、608年の出来事の2年後、つまり610年の10月にも、膳臣大伴（かしわでのおみおおとも）と共に新羅や任那からの使者を迎える役割を務めました。この際、「荘馬（かざりうま）」の長を務め、阿斗の河辺の館（むろつみ）に使者を迎え入れています。この外交業務の主導は蘇我馬子と蝦夷で行われ、聖徳太子が関与していなかったため、馬子が半島との関係を担当するという役割分担が形成されていたと考えられます。このように、比羅夫は両者からの信頼を受けていたのでしょう。

薬猟と部領の任命

また、610年の5月には菟田野での薬猟の際、比羅夫が後部領に任命されたことが記録されています。この猟では、粟田細目（あわたのほそめ）が前部領として指揮を取り、比羅夫はその後ろを支える役割を果たしていました。この任命は彼の地位を更に固めるものであり、彼の外交的能力がいかに評価されていたかを示しています。

その後の運命と姓の変遷

額田部連一族は、天武天皇13年（684年）に八色の姓が制定されたことにより、宿禰の姓を賜ります。この改変は額田部連一族の社会的地位を引き上げ、更なる発展をもたらしたことでしょう。彼らの活動は、日本の古代国家の形成に寄与し、今日まで語り継がれる重要な歴史の一部となっています。

まとめ

総じて、額田部比羅夫は古代日本における外交の重要人物でした。彼の功績は、飛鳥時代の国際関係の礎を築いたものであり、彼自身の地位や権威をも高めるものでした。比羅夫の業績は、今なお日本の歴史の中で重要な位置を占めています。

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