願成寺 (岐阜市大洞)

願成寺（がんじょうじ）

岐阜県岐阜市大洞に位置する願成寺は、如意山を山号とする真言宗智山派の寺院です。本尊として十一面観音を祀り、美濃三十三観音霊場の第16番札所、美濃四国霊場の第19番札所としても信仰を集めています。境内には、国の天然記念物である中将姫誓願桜があり、多くの人々が訪れます。

歴史

願成寺の創建は、飛鳥時代の壬申の乱（672年）にまで遡ります。伝承によれば、この乱で活躍した美濃国の豪族、村国男依が大海人皇子から授かった観音像を祀るために、山間堂という御堂を建てたのが始まりとされています。この観音像は、欽明天皇の時代に高句麗から伝えられたとされています。

その後、721年には泰澄によって大洞山清水寺と改称され、743年には奈良の大仏造立のために仏師を探していた使者が滞在します。この時、夢のお告げによって出会った日野金丸という童子が、後に優れた仏師になったという逸話が残っています。

752年、聖武天皇の命により、如意山願成寺と改称され、大規模な伽藍が建立されました。この際、行基が十一面観音像を制作し、それまで祀られていた観音像は胎内仏とされました。756年には、中将姫が病気治癒を祈願し、その成就を記念してヤマザクラを植えたと伝えられています。この桜が、現在の中将姫誓願桜です。

しかし、937年に藤原純友の兵火によって焼失。鎌倉時代に北条泰時によって再建されましたが、1567年には織田信長の稲葉山城攻めの際に再び焼失しました。その後、1653年に神光寺の僧・宥遍上人によって再興され、1689年に真言宗に改宗し、現在に至ります。

文化財

願成寺には、数多くの文化財が所蔵されています。

天然記念物（国指定）
中将姫誓願桜：花弁が20～30枚あるヤマザクラの栽培品種で、1929年に国の天然記念物に指定されました。
岐阜県指定重要文化財
十一面観音像：伝承では行基の作とされていますが、実際には鎌倉時代の作とされています。
大日如来像：鎌倉時代の作。
阿弥陀如来像：鎌倉時代の作。
木造金剛力士立像：鎌倉時代の作。
鰐口：鎌倉時代の作。
華瓶及閼伽桶
絹本著色当麻曼荼羅
念誦次第五種伝叡尊筆
春日版大般若経
岐阜市指定文化財
木造不動明王立像
木造弘法大師坐像

所在地と交通アクセス

願成寺は、岐阜県岐阜市大洞1-21-2にあります。

公共交通機関を利用する場合、岐阜バスの「光輪公園口」バス停が最寄りで、そこから徒歩約10分です。

JR岐阜駅バスターミナル
14番のりばから「大洞緑団地」行きに乗車。
岐阜バスターミナル
* C番のりばから「大洞緑団地」行きに乗車。

まとめ

願成寺は、その長い歴史の中で、幾度かの焼失と再建を繰り返しながらも、多くの人々の信仰を集めてきました。特に、中将姫誓願桜は春になると美しい花を咲かせ、多くの観光客を魅了しています。歴史と文化、そして自然が調和した場所として、訪れる人々に安らぎを与えてくれるでしょう。

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